日経新聞インタビュー記事

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 本日の日経新聞朝刊、5面のインタビュー「領空侵犯」は、在日米国商工会議所会長C・レイク氏へのインタビューが掲載されていました。

 

 レイク氏は、日本政府の留学生30万人計画の優先順位に異論があると述べています。

 

 日本政府の留学生30万人計画は、第1に留学生の誘致を強調、第2に入試・入学・入国制度の改善、第3に大学のグローバル化を掲げているそうですが、レイク氏によると政府の発想は完全に主客転倒であるとのことです。

 つまり日本政府は、留学生を30万人誘致することを最優先とし、そのために制度の改善を行い、それによって大学のグローバル化を図ろうとしているかのような優先順位を取っているが、大学自体に魅力がなければ留学生は集まらない、大学がグローバル化して魅力溢れるものになれば自然と大学に人が集まるものであると述べられます。

 

 レイク氏の上記の主張は、数的目標の優先という日本の政府・お役人・学者などが陥りがちな欠点を見事に指摘されています。

 

 似たようなことは、法曹人口の問題にも言えます。法科大学院志願者が減少の一途であるとの指摘がなされていますが、法科大学院側は合格者を増やして合格率を上げれば、志願者は増え優秀な人材を法曹界に導けるとの主張を繰り返しているようです。

 

 いくら合格者を増やしても、弁護士(法曹)の仕事に魅力がなければ誰も弁護士になろうとは思いません。いまの現状はどうでしょうか。高いお金を払って法科大学院に進学しなければならず、進学しても新司法試験に合格するとは限りません。新司法試験に三振すれば就職も危機にさらされます。運良く合格しても、2回試験に合格できるとは限りませんし、修習生活は借金して生活しなければなりません。借金を背負ってようやく2回試験に合格しても、法律事務所は現状で既に就職できない人が出ているほど弁護士が余っています。弁護士需要の飛躍的増大は、いまのところ見込めません。新司法試験に不合格でも就職難、合格しても就職難、いずれにしても法科大学院に学費(合格すれば修習生活の費用も加算)を支払わなければならず、借金は負わされる。こんなくらいなら、普通に就職した方がマシだと思う人が多くいてもおかしくありません。

 

 これでどうやって、優秀な若者に法律家を目指して欲しいと言うことができるのでしょうか。法科大学院の言い分は法律家の仕事としての魅力が、10年ほど前と永遠に変わらないということ(新人弁護士が引く手あまたであった時代が永遠に続くこと)を前提にした机上の空論です。

 規制緩和による激増問題に揺れるタクシー業界ですら2001年からの5年間で法人タクシー台数は8%増加しただけです(日経新聞による)。弁護士は以前の私の概算によれば、2001年→2006年まで約22.3%の増加、2001年→2008年まで約39.2%の増加です。今後その増加の勢いは増すばかりです。つまり、今後さらに新人弁護士の待遇は悪化すると見られるのです。

 

 優秀な法律家を育てるためには優秀な人材を集める必要があるのは、誰にでも分かります。優秀な人材を集めるためには、優秀な人材がこぞってその仕事を目指すだけの魅力が目標になくてはなりません。こんな簡単なことが分からない学者先生たちではないと思いますので、分かっていながら何らかの理由で、新司法試験合格者を増やすよう言い続けているのでしょう。

 

  建前ばかり振り回さないで、本当の理由を教えて頂きたいところです。