総務省~法科大学院の評価に関する研究会報告5

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  新司法試験に関する続きです。

 

 ③合格基準、合格者の決定

 

 ・新司法試験の試験委員の選考基準が不意透明ではないかとの指摘があるがどうか。

 

 ・採点基準や採点マニュアルはどうなっているのか、守秘義務に抵触しない範囲で顕彰する必要があるのではないか。また合格者数・合格基準について明確な基準がないのではないか。

 

 ・新司法試験の問題は合格者を判定するための機能を適切に果たす内容になっているのだろうか。論理的思考力や事例解析能力を見るための試験とすることを強調するあまり、合否の予測が困難になっており、多様な人材が法曹になることを困難にしているのではないか。

→(坂野の意見)論理的思考力も、事案解析能力も法律家には必須です。お医者さんで言うと病気の兆候を見つけ出す能力や、その兆候から適切な診断をする能力に近いと思います。どんなに難しい試験でも魅力あるものであれば、目指す人は増えていきます。歴史的に見ても中国の科挙もその合格に魅力があったため、極めて厳しい試験でも受験者は大勢いたはずです。

 

・7割合格が前提で、5割ですら超えるものが数校しかない現状では、全法科大学院が要求水準を満たしていないのかということになってしまう。司法試験予備校の一流講師がついて教えても、2000番目の合格者レベルを維持しつつ合格者を3000人にすることは難しいという。つまり合格者3000人にするということは、合格水準をそのレベルまで下げるという了解が当然にあったのではないか。今でも合格レベルを保ったまま法科大学院の質を高めれば3000人の合格者を出せると考えているのであれば、その根拠を示すべき。

→(坂野の意見)そんな了解ありません。司法審意見書でも質・量とも豊かなとなっており、質が先に記載されているとおり、質の維持は大前提でした。また法科大学院側も、質を維持できると大見得を切っていたはずです。根拠を示すべきという御意見には全くその通りだと思います。

 

④受験回数制限

・受験回数を制限する明確な根拠がないまま現行のルールが定められているのではないか。

・受験回数制限はない方が良いと思う。受験者の気持ちを斟酌していない仕組みだと思う。

 

⑤予備試験

・平成23年度から行われる予備試験については、平成21年3月末閣議決定を踏まえ、適切な措置が講じられるべきである。

→(坂野の意見)平成21年3月末の閣議決定は、非常に問題のある閣議決定です。

 曰く「予備試験合格者数について、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う」ということですから、

 予備試験突破者の合格率と法科大学院修了者の合格率を揃えろと言っているのです。

 例えば、予備試験突破者500名、法科大学院修了者4500名が受験する際に、新司法試験合格者が500名だと仮定すると、成績に関係なく予備試験突破者から50名、法科大学院修了者から450名合格させろということのようです。予備試験突破者がどんなに優秀であっても、法科大学院修了者と同じ比率でしか合格できない可能性が残ります。

 一見、予備試験受験者を不利にしないための閣議決定のようにも見えますが、予備試験は極めて優秀な方しか合格できそうにない試験が予測されており、おそらく実態は法科大学院受験者の保護になるものと思われます。

 

⑥その他

・司法試験の受験資格喪失者などの不合格者に対するケアはどの程度行われているのか。実態を把握していない法務省・文科省は速やかに把握し、抜本的対策を講ずべき。

・次のような志願者への説明不足と志願者の認識不足を解消する努力・工夫が必要ではないか。

-「根拠なき楽観」~自分は違う。真面目にやれば通る。三振したときのことは考えていなかった。

-合格すれば専業弁護士として食っていけるものと思い込んでいる。

-三振した場合の人生ロスについての認識不足~新卒22歳から働いている者と30歳近くになって入社する者との「生涯格差」の認識の欠如。

-新卒時にはあった、多彩な人税選択が一般的に失われたという事実の不認識。

 

 →(坂野の意見)ちょっと過保護かもしれませんが、それだけ、多くの学生さんの人生を浪費させる制度になっていると言うことなのでしょう。

 

 

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

 

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~雲海、穏やか3(シベリア上空 撮影者坂野)~


Posted by sakano at 19:17  | パーマリンク |
2011年01月25日
弁護士会の会長・副会長職
 

  (大阪弁護士会所属ではない)友人弁護士のツイッターに、

 

 「弁護士会会長がご挨拶に来られた。初めてお会いする先生だったが、爽やかな感じの方だった。いつのまにか決まってたんだ。。。」

 

 とのつぶやきが投稿されていた。

 

 弁護士会会長という自分たちのトップを選ぶはずの場面だから、普通なら全会員が関心を持って不思議ではない。

 しかし、一般の方には意外に思われるかもしれないが、無投票で会長が決まる場合、どの弁護士会に所属する弁護士会員の感想も、多くは、上記のようなものだろうと思う。

 

 平たく言えば、弁護士会内の会派や年功序列で事前に根回しが済んでいる場合がほとんどだし、事前調整がある以上、対抗馬が出る可能性はゼロに等しい。根回しが済んでいるから例え選挙になっても、会派の組織票でほぼ100%勝てない。だから、「出馬するだけ無駄」との判断をする人がほとんどだからだ。

 

 また、誰が会長なっても大して変わらないと考えている人も、実は、多い。そして、これまでの弁護士会や日弁連の上層部に失望している人も、おそらくそれ以上に多いのだ。

 

 ただ、事前調整がうまく行かずに選挙になった場合は大変だ。各会派が総力を結集して人海戦術でスーパーどぶ板選挙を繰り広げる。投票依頼の電話攻勢で業務を妨害される方も迷惑するし、もっと迷惑するのは、会派の上層部からの命令で電話かけをさせられる若手会員だ。投票所でも、誰が投票したかチェックしている人がいて、投票していなかったら投票するように会派上層部から指示が来たりする。

 

 私が、選挙管理委員なら、他の弁護士の業務や若手弁護士に迷惑をかける戸別訪問・電話依頼は全て禁止。完全な政策論争だけにしぼり、資金力で差がつかないように、インターネットで双方のマニフェストを公開して、主張反論を戦わせることによって、選挙させてやりたいと思う。

 もっと徹底するなら、極論になるが候補者をA・B・Cと表記するなどして、他の情報をシャットアウトして完全に政策論争で勝負させるのも面白い。大体、修習年度がいつなのか、会派がどこなのかなんて、会長としての実力とは関係がない面もあるはずだからだ。

 

 ちなみに、大阪でも昨日付で選挙公報が配布され、平成23年度会長・副会長等が決まったことが伝えられている。

 

 私の関心事であり、日弁連会長選挙でも争点となった、法曹人口問題について、次期の会長・副会長がどのような態度をおとりなのか、選挙公報から抜粋してみようと思う。

 

(続く)

 

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。