Kさんが連れてきてくれたのは、半地下の喫茶店。

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 そこで、Gさんの通訳で中国には弁護士補のようなものがあり、Kさんは理系の大学を出てすぐに司法試験に合格して弁護士に成ったばかりであることを知る。弁護士補の身分証明書は青で、1年経てば赤の身分証明書になるそうだ。S弁護士が日弁連の、Y弁護士が大阪弁護士会の身分証明書を出し、身分証明書の話で少し盛り上がる。

 最初にレモンを浮かべた水が出てくるが、中国の水道水は飲めないと聞いている。Gさんに確認すると、水道水を蒸留した水を使うので大丈夫とのこと。メニューは写真入りで手作り感満載。出されたぬるい水を飲みながら考える。

 注文は、暑かったのでアイスコーヒー。X教授も同じ。GさんとKさんはホットコーヒー。

 しばらくたってやってきたアイスコーヒーは、日本のアイスコーヒーとは違っている。まず氷が見えない。飲んでみても冷たい!という感じはない。小さく溶けかけた氷を一つ見つけたが、ここでのアイスコーヒーとは、「熱くはないコーヒー」という意味のようだった。

 スイーツ好きのY弁護士はスイーツ1択。感想は、「意外にいけます」というものだった。しばらく時間をつぶして、お手洗いを完了し、青島駅に向かうことになる。

 喫茶店のカウンターの後ろには、チェ・ゲバラのポスターが貼ってあった。ゲバラはカストロと共に、革命によりキューバに社会主義国家を建設した英雄の一人とされている。中国なら毛沢東でもおかしくないところだが、なぜか、ゲバラだ。ちなみに、「キューバは格差社会ではない」との旅行記を読んだことがあるから、現代中国の格差社会へのささやかな反抗なのかもしれない。

 店を出る際に指さして、チェ・ゲバラ、というと入れ墨をした店員の兄ちゃんが頷いて笑っていた。


 駅まで送ってもらってKさんといったんお別れ。

 Gさんが、チケットを受け取ってきますと言ってパスポートを持って駅の切符売り場の方に行く。その間しばらく、時間がかかるとのこと。

 駅前の広場を見ると、遠くにケンタッキー、マクドナルドが見える。それに「李先生」という店は、中国のファストフードであることを教わる。さっきまで暑かったが、日陰に入って風が吹くと意外にひんやりする。湿度が低いのかもしれない。

 物乞いが2度もやってきて小額紙幣を握りしめた拳を突き出して何か言っていたが、生憎小額紙幣の持ち合わせはない。かといって、六枚しかない100元札を大盤振る舞いするほど豪気でもない。またX教授が、「一度お金を渡すとすぐに情報がまわって10人ぐらいが、あっという間にたかってきますよ。」と注意してくれる。

心は決まった。

スミマセンが、もっとお金持ちの方にお願いするか、頑張って働いて下さいね、だ。

 駅の真ん前に「青鉄特警」と大書した、でかい警察官詰め所がある。拳銃ではなく、自動小銃を肩から下げた警官らしき人が、そのバルコニーのようなところを巡回して睨みをきかせている。

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(向こう側に巡回したときに急いで撮影)


 ちょっと怖いですね~と話すと、「中国ですからね。いろいろ弾圧してるんでしょう。外に出てないだけで。」と、怖~いことをX教授がさらっと仰る。

 そういえばハリウッド映画「2012」で、地球滅亡が予測された後、一部の富裕層・政治家などが庶民を見捨てて自分達だけ脱出しようと、一般に知られないように情報統制しつつ人類の箱船を造船していたが、その造船場所が中国だったという話があった。大量に人員動員が可能でかつ情報統制もできる可能性がある国が存在するとしたら、その国は中国である、という設定が全世界的にも最も説得力があったということなんだろうが、そんな感じなのだろうか。

 ここで、X教授から、一番大事な言葉を覚えておくようにと指示が出た。ツァーサ・サイナーリという言葉だ。??と思っていると、「トイレはどこですか」という意味だそうだ。確かに大事だ。特に水が悪いとお腹を壊しやすいし、中国でトイレットと英語で言っても、ほぼ誰も分かってくれないらしい。何度か声に出して、覚えようとするが、なかなか覚えられないのは年のせいか。

 Gさんがチケットを手にして戻ってくる。チケットにはパスポートナンバーと氏名が印刷されている。確か当初は青島から済南まで高速道路で移動する予定だったそうだが、当局から、安全面から高速道路はまかり成らんとのお達しがあったそうで、結局鉄道になったとのことだった。そんなところまで当局が関与してくるところは、やはり社会主義国家の片鱗が見え隠れする。

 当局がどうして高速道路を走らせてくれないのかはよく分からんが、鉄道好きのS弁護士としては有難い。

 青島駅に入場するにも厳重なチェックが必要。

 パスポートとチケットの確認をしてようやく駅構内に入れる。→空港のような荷物検査→チケット確認して改札を通してもらいやっとホームに入れる。

 しかも、乗車が遅れると、まだ乗客が並んでいても、おいて行かれるのだそうだ。

 さすがにおいて行かれたらお手上げだ。本当は整列乗車が好きなんだが、そんな贅沢言っていられない。郷にいれば郷に従う、これが旅行の鉄則だ。荷物を引き吊り、足を踏まれたりしながら、列も何もない感じで改札口突破を目指す。

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(我先に改札を突破しようとする人々)

 ホームに出ると一安心だと思ったが、発車時間までに乗らないと置いていかれるそうなので、指定車両に急ぐ。

 指定車両に乗り込むと、既に荷物棚は荷物で一杯。X教授やY弁護士のでかいスーツケースを乗せるため、スペースを空けてなんとか積み込む。

 車内では再度パスポートとチケットの確認、ふん!という感じで愛想はない。車内販売も黙って通り過ぎるときもあり、やる気のない感じ。

 X教授が水を一本、Gさんに買ってもらった。

 車両間のドアは常に開いている。どういう理由があるのか知らないが、日本では閉じているので違和感がある。速度表示があるが、200キロをどうしても超えない。Gさんからは、300キロくらい出る性能があると聞いていたが、何度見ても200キロまで届かない。197キロが最高だったように思う。おそらく線路の性能の問題なのだろう。

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(何故か車両間のドアを開けっ放しで走行する列車)

 車内はほぼ満席。電話でしゃべる奴、端末からイヤホンをはずして周りに聞こえる音を止めない奴などいるが、だーれも注意しない。
マナーが悪いのか、人の自由を尊重しているのか。よく分からない。

 ふと横を見ると、X教授とY弁護士が爆眠していた。

(続く)

(続き)

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(上空より見る明石海峡大橋)

 ところが、離陸してしばらくして分かったのだが、この中国人の子供が難敵だった。

 子供のくせに肘掛けに両手を乗せて、両側の肘掛けを占領する、もたれ掛かってくる、靴を履いたまま横座りをして、靴底をこちらのズボンに押しつけてくる・・・など、かなり傍若無人。

 日本に旅行に来ている中国人なので、きっと富裕層なのだと思うけれど、マナー悪過ぎやろ。
 金はあるけど他はないよ、って感じと違うか。
 このままではろくな大人になれんぞ。日中友好にヒビが入るぞ!と心の中でぼやく。

 ゴン、と軽い頭突きを食らったほどに、余りに勢いをつけて、もたれ掛かられたので、さすがに、一度だけ肩をつついて日本語で注意したが、どこまでわかったものやら。母親も知らんぷりだ。途中で寝てくれたから良かったものの、そうでなければ、機内でかなりのストレスがかかったはずだ。

 昼食はえびとホタテのドリア、野菜、肉団子、小さなパンケーキとなぜかブルボンのあられの小袋。熱々のドリアが食べられるのも電子レンジのおかげだなぁ~と思いつつ、しっかり食べる。日本茶をもらい、うたた寝をしたりしていると、もうチンタオだ。

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(昼食のドリアなど)

 着陸態勢に入ると、山が見える。日本のように山全体が緑に覆われている感じではなく、岩肌が結構見えているところが面白い。概ね飛行時間は2時間50分くらいか。

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(関空から青島までの飛行ルート)

 時差はマイナス一時間。結構暑い。

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(青島付近の山の様子)

 入国手続きの書類を機内で書く際に、宿泊先については、まだGさんから聞いていないとX教授。「地球の歩き方の一番上に載っているシャングリラホテルでいいよ、それに入国目的は「観光」にチェックしておいた方が問題が生じないからいい」、と、経験から得た対処法を教えてくれる。

 何事にも先達あらまほしきものなれ。経験者の言うことの方が基本的には正しい。特に相手は中国。人民軍がいるところだ。用心するに越したことはない。X教授のお話を反対解釈すれば、観光以外の記載だといろいろ聞かれて面倒になるということだろう。問題が起きかねない道は避けるべきだ。結局X教授のご指導に従って、事実とは異なるが、目的:観光、青島での宿泊先:シャングリラホテル、と記入することにする。

 ホテルの漢字表記を記載するためにX教授から借りた地球の歩き方のコピーを参考に、シャングリラホテルと記入する。

 しかし、そのお借りしたコピーを機内に忘れてしまった。早速やらかしてしまった。平謝りのS弁護士だったが、X教授は笑って許してくれた。

 入国審査場では、なんだか人民軍の制服を着たような人が、無表情でパスポートの表紙を見て「そっちへ行け」とばかりに、指をさす。入国審査官も人民軍の制服のような服を着用している。どちらの人も、どこかで訓練してきたかのように、無表情だ。

 S弁護士はひげ面である。特に最近はおつむの毛が寂しくなってきたせいもあって、髭は大事にしている。しかし、ある学校で職業講話をしたときに、その髭のせいで教室に入った際に、「弁護士が来た~」ではなく、「タリバンが来た~」と中学生に騒がれた経験があることも事実である。しかも、今はイスラム国によるテロも多発している状況にある。

 「おい、おまえ、生意気にもヒゲ面しやがって、見るからに怪しいな。本当に、シャングリラホテルに泊まるのか?本当に観光なのか?」などと入国審査官から聞かれて、「すみません。嘘ついていました。本当は学会参加でホテルも未定なんです。」と本当のことを言ったら、やばいような気がする。そのときはX教授に強要されたと言えば助かるかもしれんが、自らの非を認めない奴として、逆に重く処罰されちゃうかも・・・と少し緊張したが、入国審査は審査官の無表情と無言のまま、特に問題なく通り抜けることができた。

 荷物はせっかく「壊れ物あり」にしたのに、3人の中では一番遅く出てきた。まあこういうときもあるさ。荷物を受け取ったあと、入国者出口から空港のロビーに出る。中国語や韓国語のプラカードを持っている人が何人かいたが、日本語のプラカードは、見あたらない。遠くにマクドナルドと味千ラーメンの看板が見える。

 しばらくしても迎えにきているはずのGさんが来ない。X教授がライン?のようなアプリを使って、連絡を取っているが、上手く連絡できない様子だ。10分ほどして、Gさんともう一人の方がやってきた。


 お話によれば、Gさんは、X教授の教え子で、山東政法学院で先生をしているとのこと。もう1人は、青島の有力弁護士野ところに勤務する、Kさんという弁護士になってすぐの人とのこと。お二人と挨拶した後、Kさんのボス弁の所有だというレンジローバーにのせてもらって、チンタオ駅方面に向かう。

途中、でかい橋を見る。なんでもアジアで一番大きな橋だそうだ。

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(Gさんの説明によるとアジアで一番長い橋)

 道路には、日本車、ドイツ車、韓国車、フランス車まで走っている。走っている車だけを見れば、ヨーロッパの道路と変わらない。その昔、NHK特集「シルクロード」で見た中国とは完全に違う。わずか数十年で、経済的に、ものすごい進歩を遂げているのだろう。

 高速は風がひどい。結構ほこりっぽい感じもする。

 しかし、暑いから窓を開けておく方が良い。額から頭頂部にかけて、かなり寂しくなってきたS弁護士の頭髪を、ほこりっぽい風になぶらせながら、車は青島市内へと向かう。

 列車の時間が15:19ということで、「3時間近くあるので食事にしますか」とGさんが提案する。遠慮した方が良いのか迷っていると、X教授が「機内で食事をしたばかりなので、お茶で良いよ」とさくっと指令を出す。

 おお、さすがにX先生、師匠って感じやな。。。。と、X教授を頼もしく思うS弁護士であった。

 青島市内はドイツの居留地でもあったこともあり、欧風の建物がたくさんある。中国語の看板さえ見なければどこかのヨーロッパの町並みと言っても通用しそうだ。

(続く)

ふとしたことから、X教授のお誘いで、Y弁護士と一緒に、2017年5月20日に中国山東省済南市で開催された、日中韓FTAシンポジウムに参加して来ました。

シンポジウムよりも中国旅行に焦点を当ててご報告したいと思います。

事実に基づいた、フィクションとしてお楽しみ下さい。

登場人物(紹介)

X教授:某大学法学部教授・弁護士

Y弁護士:弁護士(某大学法学部非常勤講師)

S弁護士:弁護士(某大学法学部・同大学院非常勤講師)

2017年5月19日

5時30分に起床。
朝食をとり、河原町今出川でタクシーを拾って、京都駅まで向かう。
時間の余裕を持ちすぎて、6:15くらいに京都駅についてしまった。かすかに期待していた、旅情と郷愁をかき立てる立ち食いそば屋も開いていない。

かつて高校時代、列車で通学していたS弁護士は学校からの帰り道、お小遣いに余裕があるときには、新宮駅で立ち食いそばを食べることもあった。立ち食いそばは、まだ未来が茫洋として何となく不安に駆られていた当時の自分を思い出させてくれる鍵でもあるのだ。

仕方なく待合いで時間をつぶし、関西空港行き「特急はるか」に乗車。乗客には外人が多い。途中からは結構乗ってきて、込んできた。昨晩、旅行の準備で寝不足だったので寝る。
8:18に関空着。

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(発車前の特急はるか)

待ち合わせ場所に指定された4階出発ロビー、ANAカウンター前に向かう。
誰も見つからない。少しうろうろしているとX教授を発見。

すでにチェックインして、荷物を預けたとのこと。集合場所と時間は決まっていたが、荷物を預けてから集合とは聞いていなかった。あわてて手荷物を預ける。今までの経験上、預ける荷物について、壊れ物ありにしておいた方が、到着地で早めに出てくる傾向があったことと、手荷物に実際デジタルメモを入れていたことから,壊れ物ありにしてもらう。

S弁護士が荷物を預け終えた頃、Y弁護士登場。かなりでかいスーツケースを引っ張っていて驚く。
Y弁護士も荷物を預けて早速、手荷物検査場へ。

X教授は落ち着いているが、初の中国となる他の二人は落ち着かない。

Y弁護士は、目的地を北京と言い間違えたりする。

荷物検査を終えて、出国手続きをすることになるが、X教授は、指紋認証を登録しているということでさっさと終える。
X教授、Y弁護士が買い物をするということで、S弁護士は先にラウンジに行っておく。

途中で人民元に両替。

1万円あまりで600元。結構レートは良くない。最初1万円を両替するよう依頼したところ587元くらいだったようで、「これでも両替できますが、日本円を少し足せば600元ちょうどになります」との説明。日本円を少し足したところ100元札が六枚来た。100元札一枚分は、もうすこし小額の紙幣に換えて欲しいとお願いすると、100元単位の両替だからできないなどという。

おいおい、ついさっき、1万円を端数のある人民元に両替できると言ったところじゃないか。それなら1万円きっかりを人民元に変えて欲しいという希望に添った両替をこの店はやらないってことなのか?そんな注意書きどこにも出てないぞ。100元単位でしか両替できないなんて、そんな馬鹿なことはないだろう。筋の通らないことを言う担当者だ。本当は面倒くさいだけなんだろう!と、S弁護士は一瞬で担当者の、余分な仕事はしたくない、という思惑を察知したが、ここで喧嘩しても意味がない。

ふっ、本来であれば切って捨てるところだが、まあ今日のところは捨て置いてやる。運が良かったな、両替屋の兄ちゃん・・・と心の中で呟きながら、S弁護士は両替商の窓口を去る。

しかし、よくよく考えると、両替手数料もしっかり取る上に、レートも売り・買いでいじるなんて、実際ぼったくり以外なにものでもないように思える。その上、顧客の要望にも応じないとは、サービス業としてどうなんだ、とも思うS弁護士だった。

クレジットカードで入れるラウンジは、結構しょぼかった。オレンジジュースを飲もうとしたが、売り切れで、仕方なく、野菜ジュースを3杯ほど飲んでしまう。海外旅行出発で盛り上がっている団体がいてうるさい。


途中からラウンジにX教授もやってきて、ゼミで教えているという法実証主義や功利主義等について、少し話す。
Y弁護士が心配だというX教授のお話で、少し早いがゲートまで。

そこでY弁護士と落ち合って、搭乗を待つ。
ゲートに止まっているのはボーイング737-700、大体120席くらいのかなり小さな機体だ。

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(青島行き ANA NH977便)

中国では水道水が飲めないと聞いていたので、念のため水を一本買っておく。
S弁護士は窓から見る外の景色を楽しみにもしているので、飛行機は、取れる限り窓側の席を取る。今回も前日のオンラインチェックインを使って窓側を押さえておいた。

搭乗すると、横が中国人の子供、通路側がそのお母さんと思われる女性だった。

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(搭乗中のX教授とY弁護士)

(続く)

初めての遠近両用眼鏡~その3


 量販店では、たくさんのフレームが並んでいる。

 正直言ってどれが似合うかさっぱり分からない。一応、試着はできる。
 しかし、当たり前だが、そのためには今かけている眼鏡を外さないとできない。そうなるとド近眼のS弁護士には、鏡に映った自分の姿もボケボケで、どれだけ似合っているのか分からないのだ。

 思えば高校の身体測定のときに、視力検査で、視力検査表の一番上の文字を読むように言われた高校生Sは、必死に眼を細めて読もうとしても、どうしても解読できず、「わかりません・・・」と返答した際に、同級生から「え~、あんなに、でかい文字も見えへんのか!」というどよめきが起きたこともそういえばあった。
 そこから、検査表の文字が読めるまで視力検査表に近づくよう指示されるのだが、かなり近づいてもまだ「わかりません・・」という高校生Sの返答に、さらに大きな周囲のどよめきが起きたことは言うまでもない。別に屈辱を感じる必要はないのだが、高校生というのは結構残酷なもので「見えね~んだってよ。」と笑い出す同級生もいて、何故だかかなりの屈辱感を感じたようにも記憶している。
 ちきしょう、俺だって好きで「見えない」って言ってんじゃねーんだよ。と思ったものだが、根性出したところで検査表の文字が読めるようになるわけでもない。そういうわけで視力検査は結構ストレスではあった。

 さて、話を戻すと、フレームの選択である。
 前述の通りド近眼のS弁護士には鏡に映る自分の姿もかなりのピンぼけでしか、わからない。

「う~ん、似合ってますかね~」
「もちろん良くお似合いですよ~」

という、量販店のおじさんの営業トークに抗う術はもはやS弁護士には残されていない。
 こうなれば、売れ残りを売りつけられようが、どうなろうがわかりゃしないが、ここは大阪、古来より商人の街。売り手良し、買い手良し、世間良し、の三方良しは近江商人の心意気だったと思うが、商人であるならそのくらいの心意気は、あるだろう。それに、この量販店は、安心価格・懇切丁寧も標語に上げているようだから、信じてみてもええんやないか・・・。心の中で迷いはあったものの、結局選択肢はあまり残されていない。

勧められるままに、「じゃあ、これで良いです」と、フレームを選び、レンズはできるだけ薄いタイプを選んで、さあ注文だ。
出来上がりは一週間後。


一週間経って、少しドキドキしながら量販店に向かう。
早速始めての遠近両用眼鏡を装着してもらう。

??

なんだか、眼鏡の左右の周縁付近が歪んで見えるな。
足下がなんだか普段より遠く見える気がするぞ。
これは確かに、階段とか危ないかもしれないな。
このように、違和感は結構あった。

しかし、眼鏡レンズの中心部分においては、そんなに歪んではいない。眼鏡上部で遠いところを見つめると今までよりはっきり見える。一方、視線をだんだんと下げていき眼鏡の下部で近いところを見ても、そんなにきつくはない。

つまり、遠いところも、近いところもシームレス(つなぎ目なし)で緩やかに、無段階に見える仕掛けになっているのだ。昔の古本屋の親父のように、眼鏡の下半分に老眼用レンズがついていて、明確に遠用部分、近用部分と分かれているわけではない。無段階に変化するということは、距離に応じた最適なレンズ屈折部分が視線のどこかに存在するということとほぼ同義だ。これは単焦点眼鏡にはない利点だろう。恐るべし現代の遠近両用レンズ。
ある意味感動だ。

 このように、昔の遠近両用レンズを想像していたS弁護士は、技術の進歩に驚かされることになったのだった。

 しかし、未だに読書や裁判用書面の起案の際には、以前からの単焦点眼鏡の方が使いやすい気がして、S弁護士はそれを用いている。
せっかく便利な遠近両用眼鏡を入手した物の、S弁護士が慣れるには、もう少し時間が必要のようである。

山東省の学会に参加してきました。

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 去る、5月20日に開催されました、山東政法学院(大学)・山東省法学会主催の、日中韓FTAシンポジウムに参加して来ました。

 中国といえば、反日教育、パクリ天国・コピー天国というあまり良くないイメージが先行していますが、そのイメージを改めなければならないことを痛感しました。

 おって、S弁護士シリーズとして、多少脚色を加えて(?!)詳細をご報告させて頂きますので、ご期待下さい。

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(山東省済南市燕子山庄6号館の開会式会場~開会前)

初めての遠近両用眼鏡~その2

眼鏡の購入といえば、昔は●●時計店という時計や宝石を売っているお店の眼鏡部で、一本3万円以上もする眼鏡を買うのが普通だったように記憶している。よくよく考えてみると、時計店で宝石や眼鏡を扱うという形態が世界的には珍しいようにも思うが、昔はそれが当たり前だった。そこでは、フレームを選んだ後、視力を計り、レンズを選択して作成してもらうものだった。注文してから数時間かかることもあったように記憶している。

そもそも、S弁護士の眼鏡歴は長い。小学1年生当時の視力は2.0だったのに、何故か急に悪くなって小学5年生頃にはもう近視用の眼鏡をかけていた。

父親にも、母親にも近視の傾向はなく、遺伝ではないと信じ切っていた両親からは、テレビの見過ぎではないかとあらぬ疑いをかけられたりもしたものだ。

確かにテレビにリモコンがない時代に、親がやってくるとすぐにスイッチを切って勉強しているふりをする必要があったため、かなり画面の近くでテレビを見ざるを得なかったという、今どきの子供には理解しがたい理由もあるにはあった。

しかしその後、弟や妹も近視傾向があることが分かり、S弁護士だけがテレビを見過ぎているという疑いはそのうち薄れていった。

それはさておき、眼鏡や自動車のタイヤのように滅多に買い換えないものは、えてして価格が高くなるものだ。買い換え需要がそんなにない以上、限られた需要で経営を賄わざるを得ないから、必然的に1個あたりの利益を上げざるを得ない。

S弁護士が弁護士に成り立ての際に、ボスの受任した大きな眼鏡屋問屋さんの破産管財業務を手伝わされたが、眼鏡小売店の店長達はこぞって、アフターサービスや問屋さんの問題を非難して、なかなか売掛金を支払ってくれなかった。また、時間のある(悪い言い方をすれば暇な)店主が多いらしく、担当者のS弁護士に電話をかけてきて散々問屋さんの問題に関する非難と、売掛金を請求される理不尽さを訴える人もかなり多くいたものである。そんなことに時間を割いていても眼鏡店の経営が成り立っていたのだから、牧歌的な時代だったのかもしれない。

最終的には、合計120件以上の売掛先に訴訟を提起し、10件以上の売掛先に差押をかけ、かなりの部分を回収したのだが、眼鏡屋さんの店主との攻防は本当に時間を割かれるものだった。

ところが、いまは眼鏡も量販店の時代で、フレームとレンズがセットで幾らという販売形態の方が多いようなのだ。まあ、その方がお値段も明快だし、買いやすい。量販店だから品質が悪いという噂もない。

それなら、量販店でも問題はあるまい。

処方箋を持って、S弁護士は、勤務先近くの眼鏡量販店の一つに向かったのだった。

初めての遠近両用眼鏡~その1

 先日、ためしてガッテンだったかで緑内障は怖いという番組を見た。その後、どうにも左目がかすむような気がしてきた。気にすれば気にするだけ、かすみがあるような気がしてきた。こいつは不安だ、と思ったので、眼科で診察を受けてみた。

 眼圧検査の他、暗闇の中で赤い点を見つめさせられて、目玉を調べられる検査などを受けた。結果的には、眼圧などの異常はなかったようで、特に病気を指摘されることはなかった。

それはそれで良かったのだが、その際に、S弁護士は眼鏡の度数が合っていないことを指摘された。

そういえば、ずいぶん前に作った度数のまま、変更してなかったので、「それなら新しい眼鏡をつくります」、と答えたところ、眼科の先生から遠近両用眼鏡を勧められてしまった。

遠近両用眼鏡といえば、眼鏡のレンズの下半分に凸レンズがくっついているイメージ。しかも、S弁護士の勝手な、遠近両用の眼鏡をかけている人の印象ときたら、他人とお話しする際には、眼鏡が下側にずり落ちていて、眼鏡のレンズを通さずフレームの上端越しに見られているような、妙な感じ。なんとなく、頑固で意固地な古本屋の親父がかけていて、ときおり客をじろっと睨んでいそうな雰囲気しか記憶にない。

は~、ついに老眼鏡を兼ねた眼鏡か~。

認めたくないけれども、老いぼれてきてるんだなぁ~、とため息をつきながらも、S弁護士は勝ち目のない最後の抵抗を試みる。

S弁護士 「あのう、今までの近眼用の眼鏡だとダメでしょうかね・・・」

先生 「あのね、どっちにしても老眼は40歳半ばから進行してるの。今から慣れておかないと将来、急に遠近両用に変えたって、慣れるのが大変なんだから!階段踏み外すよ~!!あたしだって、ちゃんと遠近両用の眼鏡持ってるし。」

ちゃきちゃきとした眼科の女医さんに、早口でまくし立てられ、バッサリと斬られた。

「いや、でも、先生、持ってはるってゆうても、眼鏡、かけてはらへんやないですか・・・・」と切り捨てられながらも、混ぜっ返したいところをぐっとこらえるS弁護士。

餅は餅屋。訴訟は弁護士。基本はその道の専門家に任せた方が良いのだ。

極度のド近眼のS弁護士は、相当対象に近づかないとピントが合わないため、あまり近くが見にくいということはない気がするのだが、それはあくまで本人がそう思っているだけなのだそうで、老眼は確実に進行しているらしいのだ。

眼科医院の中で、レンズを何枚か差し込める、見た目がかなり間抜けな、マッドサイエンティストがかけていてもおかしくない眼鏡を装着され、レンズをとっかえひっかえし、気分が悪くないか、近くや遠くは見えるか、等と散々質問を受けたあげくに、ようやく処方箋を頂けた。

もう腹は決まった。どんなにアンチエイジングに狂っている人でも、結局は寿命が来る。つまりどうあがいたところで、結局、加齢による老化には勝てないのだ。しかも処方箋までもらっちまった。どうせ人間は生まれながらに老いていく存在なのだ。それなら、年相応に遠近両用眼鏡にトライしてやろうじゃないの。今までどおり、運動するときは使い捨てコンタクトを使えば良いんだし。

たかが眼鏡を作ることを決めただけで、勝手に盛り上がるS弁護士であった。

さて、次は眼鏡の注文だ。

(続く)

「おにた」は、心の優しい鬼でした。


 しかし節分には、多くの家では、鬼を追い払う豆まきが行われます。


 「おにた」のいる家でも、やはり豆まきが始まり、「おにた」は、家を出ていきます。


 寒い節分の夜に、豆まきの音がしない家を探していた「おにた」は、病気のお母さんを看病する貧しい家の少女を見かけます。


 なんとかしてあげたいと思った「おにた」なのですが・・・・・・。

 

 

(できれば先に、この絵本をお読み下さることをお勧めします。)

 

 あとは、この絵本を読んで頂くべきでしょう。

 短いお話なのですが、「あまん きみこ」さんの文章が、子供だけではなく、大人の心にも、ズンと響きます。

 


 先入観に囚われていた場合、何気ない当たり前の言葉が他人を傷つけることもあります。すがたかたちは「おに」という存在であっても、こころは「おに」ではないこともあるのです。

 

「おににだっていろいろあるのにな。にんげんもいろいろいるみたいに。」

 

「おにた」のこのつぶやきを、なんの感情も抱かずに聞き流せる人は、おそらくいないでしょう。

 

 最後に少女の願いをかなえた「おにた」は、いなくなります。

 

 最後に残った「くろまめ」をどう考えるかは読み手に任されているように思います。

 

 「いわさき ちひろ」さんの絵も素晴らしく、「おにた」の気持ちを実に上手く表現しているように思えます。

 

 子供に、読み聞かせをしてあげながら、涙ぐんでしまったお母さんも多いのではないでしょうか。

 

 節分では、鬼を追い払う豆まきが付き物ですが、この本を読んだことのある人は、ひょっとして、豆まきをしないかもしれません。

 

 そういう絵本です。

 

 ポプラ社 1050円(税込)

英雄たちの栄光と挫折

NHK映像の世紀プレミアム第4集「英雄たちの栄光と挫折」

再放送があるなら必見。

私には、チェ・ゲバラが特に強く印象に残った。

もし私たちが空想家のようだと言われるならば、救い難い理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう"その通りだ"と。

全ての人間が自分の卑しさを乗り越えながら、前進することが可能なのだと答えよう。

                                       エルネスト・チェ・ゲバラ

 このような想いを持ち続けたゲバラという人間に興味を持ち、何十年か振りに伝記というジャンルの本を手に取ることになった。

そこで描かれる、

南米での北米資本による搾取の横行と、「人が人を搾取すること」を許せなかったゲバラ。

「世界のどこかで、誰かが蒙っている不正を、心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい」、と子供への手紙に書いたゲバラ。

 

 キューバ革命、カストロ、ゲバラのことを「共産主義」という、勝手な思い込みでひとまとめにして、これまで触れようともしてこなかった自分を少し後悔している。

 ゴルフは通常、3~4人が、一緒にプレーすることが多い。

 ところがゴルフをしたくても仲間や友人が3人集まらないこともある。そのような場合であっても、ゴルフをしたい人のために、一人でもゴルフをしたい人をネットで集めてゴルフをさせるよう取りはからっているのが、一人予約制度である。

 実際にS弁護士が利用してみると、なかなか良い制度であって、最初の恥ずかしさを乗り越えれば、初心者だってなんとかやっていける。みんなゴルフ好きなので話題にも事欠かないし、ゴルフを楽しみに来ている人ばかりということもあり、身勝手な方には、ほとんど会ったことがない。

 ゴルフ場にとっても、ゴルファーにとっても、メリットのある制度であって、考えたやつはえらいなぁと思う。

 現在では、バリューゴルフ・楽天・GDOなど、いくつかのサイトが一人予約制度を取り入れている。大体予約方法は似たようなかんじで、ゴルフをしたい日時とゴルフ場の地域を選択して検索すれば、一人予約を提供しているゴルフ場が表示され、その中から選択して申し込むという方式である。

 ところが、一つ気にくわないことがある。

 ゴルフ場によっては、一人目の予約者が女性である場合は、その女性のプレー料金を無料に設定しているところがあるのだ。

 そのようなゴルフ場の受付欄には、一人目のところには女性がダーッと予約を既に入れており、後に続く男性参加者を待ち受けている状況になっていることが殆どだ。

 重ねていうが、これが、S弁護士には気にくわない。

①まず、予約者を集めたいのなら男女問わず一人目を半額にする、プレー料金を下げる等の方法もあるはずで、特に一人目女性のプレー料金を無料にする理由はないように思われる。仮に一般的傾向として女性の収入が少ない場合が多いから、それに対する配慮だというのであれば、収入が少ない男性にだって割引すべきだから筋が通らない。そんなこんなで、差別的取扱に感じられて理不尽だとS弁護士は思っている。ついでにいうなら、男女差別撤廃を叫ぶのなら、女性が不当に有利に扱われている場合も、その有利な扱いを撤廃すべきと主張するのが筋だと思うが、そのような主張はあまり男女差別撤廃論者から聞いた記憶がないような気がする。仮に、有利なところは黙ったままで、不利なところだけを是正しろというのであるなら、ちょっと狡いのではないかと思ったりもする。

②そして、女性のプレー料金を無料にしたところで女性にゴルフ場を利用させてプレーさせるわけでから、施設の利用に関する負担が当然生じるわけで、それをゴルフ場が全て負担するとは思えないから、おそらく当該女性分の負担は、一緒にプレーする男性に負担させられるような仕組みになっている気がする。仮にそうだとすれば、なんで他人の楽しみの対価を自分が負担しなきゃならんのかが理解できない。

③なにより、「女性が入っているから男性も釣られて予約するだろう、どうせあなたは女性とゴルフしたいんでしょ?」というゴルフ場側の策略にみすみす引っかかったようで嫌だし、他人からスケベ心混じりでゴルフに来たと見られるようならば、心外だ。

④これは勝手な思い込みであまりいいたくないのだが、やはりスポーツにおいては、女性に負けたら恥ずかしいものだ、という変な思い込みが、S弁護士の心の中のどこかにあるようなのだ。もちろん、ゴルフは体力だけの勝負ではなくハンディやレディースティなど女性が男性と対等に戦える配慮もなされているし、始めてまだ2年のヒヨコが何をほざいているんだという面もあるのだが、それであっても女性に負かされると何故だか悔しい。

 このような理由、特に③、(少しは④?)の理由から、S弁護士は一人目女性無料のゴルフ場での一人予約は可能な限り避けるようにしている。

 しかし、一人予約の方とのラウンド中の昼食休憩時に、時折このような話題になるのであるが、中には、一人目予約の女性が20歳台、30歳代なら許せる、と仰る御仁もおられたりする。

 だとすれば、ゴルフ場の策略としては一人目女性無料の制度は、あながち間違っていないのかもしれず、S弁護士としては、女性とのことになると男性はやっぱり馬鹿なところがあったりするんだなぁということを再認識しつつ、そこが残念でもあり、またおかしかったりもするのである。