法科大学院は、もはや末期的か?

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「法科大学院 理念倒れ~予備試験の人気過熱、志願者数が逆転」という見出しの記事が2014/6/17付の日本経済新聞 朝刊に掲載されました。

 

(記事引用開始)

 

 法科大学院に行かずに司法試験に挑戦できる「予備試験」の人気が過熱している。今春の志願者は法科大学院を初めて逆転。「近道」を求める学生の勢いは止まらず、法科大学院教育が中核になるはずだった司法制度改革の理念は風前のともしびだ。 「制度自体が壊れる恐れがある」「切迫した状況だ」。6月12日、政府の「法曹養成制度改革顧問会議」の会合で、予備試験人気の高まりを問題視する発言が相次いだ。東大や京大など主要法科大学院6校は連名で「教育の場そのものが失われかねない」とする緊急提言を出した。  中央大法科大学院の大貫裕之教授は「現状が放置されるなら撤退も辞さない」と語気を強める。

 

(以下省略)

 

 

 あの法科大学院万歳の記事ばかりだった日経新聞が、ようやくまともな記事を書いてくれたのか、それとも日経新聞ですらまともな記事を書かざるを得ないところまで現実が進行してしまったのか、微妙なところです。

 

  法科大学院側は、制度自体壊れるおそれがある、等と主張しているようですが、大手法律事務所が法科大学院卒業者ではなく予備試験合格者を競って囲い込もうとしている現状から見て、法科大学院教育が実務では大して意味がないと評価されていることはもはや明らかです。

 また、おかしなことに、法科大学院教育効果は5年も経てば無くなるそうで、それが法科大学院卒業者であっても司法試験を5年間しか受験できない理由の一つとされていたと思います。

 学生に多額の費用を負担させながら、実務で大して評価されず、しかも5年程度で効果がなくなる「プロセスによる教育」。こんな「プロセスによる教育」が素晴らしいと学者もマスコミも叫び続けて、法科大学院は今日まで存続を続け、国民は多額の税金を投入してきました。もちろんそれで成果が上がればいいのですが、予備試験ルートの受験生が法科大学院卒業の受験生を司法試験の合格率では圧倒しています。法科大学院の司法試験合格率は予備試験ルートの受験生の合格率を、最優秀の法科大学院でさえ上回れていないのです。

 

 そこまでして、学生に多額の負担をさせ、実務で大して評価されず、5年で成果の消えちゃう教育(「プロセスによる教育」)をする法科大学院制度を維持するのは一体誰のためなのでしょうか。

 

  中央大法科大学院の大貫裕之教授は「現状が放置されるなら撤退も辞さない」と述べたそうですが、撤退して頂ければ国民の税金が無駄にならないので大いに結構だと思います。

 それよりも大学側にとって脅威なのは大貫教授が「現状が放置されるなら成仏も辞さない」と言い出すことでしょう。こういわれたら中央大学は、何としても中央大法科大学院を早期撤退させるよう動くのではないでしょうか(成仏理論については法学教室2006年4月号巻頭言ご参照)。

 

  撤退の発言がもはやブラフにならないことくらいは、お分かりでしょうから、ひょっとすれば、大貫教授は、法科大学院維持を叫ぶ振りをしながら、撤退のためのエクスキューズを今から準備しているのかもしれません。

国選付添人制度拡充に思う

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 国選付添人制度が大幅に拡大されることになった。


 少年の人権に取っては喜ばしいことではある。


 しかし、私は弁護士界のことを考えれば、この拡充には、暗い気持ちにならざるを得ない。自由競争の旗印の下で弁護士人口を激増させて、仕事の質を追及するよりも儲けないとやっていけない状況を作り出しておきながら、その一方で、弁護士の善意に頼る赤字の事件を増やそうというのだから、一体何を考えているのかとすら思う。

 
 少年事件は、少年の内省を深めるべく、付添人に就任した弁護士と少年が何度も時間をかけて話し合い、少年に反省を促していく必要がある。通常の刑事事件で選任される国選弁護(否認事件などは除く)と比較して、少年事件では本当に必要な付添人活動をしようとすれば、圧倒的に時間がかかるのだ。
 もちろん、かけた時間に見合った報酬を国が出してくれるのであれば、そうでなくても、せめて赤字にならないだけの報酬を国が出してくれるのであれば、弁護士だって頑張れるかもしれない。だが厳しい国家財政の中、国が正当な報酬を出してくれるとは思えない。国選弁護だって、随分前から労力に見合った報酬にして欲しいと言い続けているはずだが未だに、そうなっていない。


 弁護士の生活を国家が保証してくれるのならともかく、生活は自力でなんとかしろ、しかし、人権保障の観点から赤字の事件はどんどんやれ、というのは筋が通らないように思う。


 おそらく国選付添人制度は、きちんと付添人活動をしようとすれば、現在の国選弁護制度以上に、弁護士にボランティア的活動を求める制度になるだろう。


 一方で、弁護士ならボランティアくらいすべきだとの御意見もあるだろうし、それをなんとなく当然と考える方もいるかもしれない。
 しかし、
 大学教授ならボランティアくらいすべきである、
 新聞記者ならボランティアくらいすべきである、
 マスコミ勤務者であればボランティアくらいすべきである、
 うどん屋であればボランティアくらいすべきである、
 駄菓子屋ならボランティアくらいすべきである、
 、、、、、という主張と比較すれば、弁護士なら~という意見は、正しいかどうか疑問が生じるはずだ。


 しかも、ボランティア活動は、通常は仕事以外の余暇の時間を当てて自発的に行うものだ。仕事の時間をボランティア的活動に費やしていては到底生活はできなくなる。善意の活動も生活が成り立った上で初めて可能になるものだ。


 おそらく、日弁連も国選付添人制度の拡充を政府に求めていたのだろうが、そこには、「財源の確保を前提に」という視点が完全に抜け落ちている。弁護士という職業で生計を立てる人間は、人権のためなら食事に事欠いてもやっていけるはずだ、というスーパーマン的弁護士が想定されているとしか思えない。


 弁護士であれば食いっぱぐれはまずあり得なかった牧歌的時代ならば、まだそれで良かったのかもしれない。しかし、きちんと仕事に見合った報酬が得られるかという財源確保の問題を等閑視して、人権のために必要だからと猪突猛進する弁護士会の姿勢は、いずれ自らの首を絞めることになるようにも思う。

経済同友会の提言

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 経済同友会が、法曹育成に関する提言を出していることを、最近知った。 


 

 

 経済同友会は、2013年6月25日にも法曹制度の在り方に対する提言を出していて、その内容がとても偏ったものであること、その3ヶ月前に経済同友会から出された「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度に関する意見」と矛盾する内容であることなどについては、すでに当ブログでも指摘したところだ。

 

 (興味のある方は、ご参照下さい)

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2013/06/26.html

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2013/07/11.html

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2013/08/15.html

   さて今度の経済同友会の提言は、法曹の需要はまだまだあるとぶち上げた上で、法科大学院中心の制度維持と予備試験廃止などを主張しているようだ。

 


   このブログでも何度も指摘してきたが、法科大学院が売り物にするプロセスによる教育がそもそも何なのか明確ではないし、プロセスによる教育がどれだけ理念的に優れていても実際の効果を上げられないのなら無用の長物であって、時間と税金の無駄使いに他ならない。プロセスによる教育が少人数双方向の充実した教育であるというならば、そのような教育は、旧司法試験時代の司法研修所でも十分行われてきていたのであって、何も法科大学院の専売特許ではない。また、司法試験の採点雑感に関する意見を読むと、年々受験生のレベルダウンが指摘されていることはすぐに分かる。ついには法科大学院での教育がきちんと行われ、学生に力が身についているかを確認するための共通到達度確認試験まで必要と指摘されている程、法科大学院の教育(一部の優れた法科大学院の存在は否定しないが、制度全体としての教育)は信用できないことが明らかになっている。 

 


 少なくともこれだけの事実だけから見ても、経済同友会は、現実から目を背け(そうでなくても現実をきちんと把握することなく)何らかの意図に沿って提言していることは明らかだ。 

 


  また、この提言を作成した委員の1人である、増田健一弁護士がパートナーを務めるアンダーソン・毛利・友常法律事務所では、明らかに予備試験合格者を優遇した採用活動を行っている。(具体的には、予備試験に合格しただけで司法試験を受験してもいない予備試験合格者を対象に、食事付・懇親会付の事務所見学会を開催している。)。


 つまり増田健一弁護士が、本当に法科大学院教育が法曹教育に必須であると考えているならば、法科大学院卒の司法修習生のみを採用する態度を示すだろうし、少なくとも予備試験合格者を優遇する事務所見学会を開催することはおかしい。 


 とはいえアンダーソン・毛利・友常法律事務所は大事務所なので増田弁護士の意見が、他のパートナーに押し切られたという場合も考えられるだろう。仮にそうだとしても、アンダーソン・毛利・友常法律事務所では、少なくとも過半数のパートナーが、法科大学院教育は法曹にとって必須のものではなく、それよりも地頭の優れた人材を確保したいと考えていることの現れではないか。 日本を代表する大事務所の少なくとも過半数のパートナーが、法科大学院教育の無意味さを明らかにしているといっても過言ではなかろう。    

 


 なお、前のブログ記事の繰り返しになるが、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度に関する意見」のなかで経済同友会は次のように述べていた。

 


   「日本は、自助・共助、それに基づく私的自治によって紛争を解決してきたからこそ、先進国中においても画期的に訴訟の少ない社会になっていると考えられる。安倍首相は、自助と共助が日本の伝統であり、今後も重視すべき価値観である旨指摘しており、この面からも安倍政権の目指す方向性と本制度(集団的消費者被害回復に係る訴訟制度)の導入が整合的かどうか検討すべきである。」

 


   つまり経済同友会は、自分達が訴えられる可能性が高まる制度が検討されているときは、「日本の訴訟を避ける伝統にしたがって私的自治による解決を優先すべきで、訴訟は少ない方が良い。訴訟など司法の場での解決は避ける方向性があるべき姿」と述べているようだ。

 


   前のブログ記事の最後に書いた記載を再度繰り返す。

 


  経済界が戦後の日本を引っ張ってきた面があることは私も否定しない。しかし、今の経済同友会は、長期的な国民生活への展望を欠いた、あまりにも近視眼的且つ場当たり的な意見に終始しているのではないか、との危惧を拭いきれない。

 (中略) 

 

経済界のリーダー達の、懸命なご判断を期待するものである。

 

 

先日、これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会(略称「司法を考える会」)の設立の集いに参加して来た。


記念講演として
1 元法曹養成制度検討会議委員の和田吉弘先生
2 立教大学教授の角紀代恵先生
3 ジャーナリストの河野真樹さん
による講演が行われた。


まず、和田先生の講演だが、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)の内輪話も含まれていて極めて興味深く感じた。


和田先生の、極めて真っ当な御意見は、法曹養成制度検討会議の取りまとめにあまり反映されていない結果になっている。民主主義下では、正しい主張が必ずしも支持を得られない場合もあるが、ここまで問題が大きく且つ明確化してきているにも拘わらず、何故もっと現状をきちんと把握・認識して対応しないのかは、いつもながら疑問に思われる。


なお、和田先生の法曹養成制度検討会議で主張された御意見は、「法曹養成制度の問題点と解決策-私の意見」と題して花伝社から出版(1000円+税)されているので、興味ある方は是非ご参照されたい。


さて、和田先生のご講演内容によれば、法曹養成制度検討会議の前身である、法曹養成制度に関するフォーラムから多くの委員が横滑りで入ってきた理由について、和田先生が質問すると、当局は、「1年で結論を出すという点を重視したからだ」と説明したという。
確かに、法曹養成制度について検討するには、ある程度の知識や現状把握が不可欠であり、早期に結論を出そうとすれば、すでにこの問題に関してある程度把握されている方を優先すること自体は、おかしなことではなさそうだ。
しかし、法曹養成制度検討会議のとりまとめは、ほとんどの論点について先送りするだけの内容になってしまっている。せっかく1年で結論を出すために多くの委員を横滑りで入れたのに、結果を見れば、結論先送り(消極的な現状維持肯定と言って良い)の内容しか出せていない。
これまで、抜本的改革を何らできずに、理念は正しいなどと言い張って法科大学院維持を金科玉条として会議を続けてきた方々が、中心メンバーにたくさんいるのだから、ある程度この結論自体予測できていた方も多いのではないだろうか。


ただ、法曹養成制度の改革は待ったなしなど、一方では勇ましいかけ声をかけながらスタートしたものの法曹養成検討会議は、結果から見れば、結論先送り、時間稼ぎのために看板を掛け替えただけだったのではないかと言われても仕方がないように思う。本気で当局が法曹養成制度改革を実行しようと思っていたのであれば、おそらく、今までのフォーラムの委員は外すべきだったし、外されていて当然だった。これまで現状維持しかできず、大した改善策も打ち出せなかった委員達だからだ。
ところが、当局は、フォーラムから多くの委員を横滑りさせた。そして結果的に結論先送りが実現された。これは、当局の意図が実現されたような気がしてならない。


でも、よく考えて見ると、我が国において、有識者の意見を聞くと言って有識者会議を開きながら、公平な人選がなされた例は少ないようにも思う。少なくとも人選する側の意図通りの発言をする委員が多く選ばれ、一応、形の上では公平な議論がなされているかのように仮装される。これは日弁連の委員会においても同じような気がする。

(続く)

日弁連速報って

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日弁連速報が届いた。


速報といっても、日弁連の理事会報告が多い。
それもFAXで届くから、要らない人からすれば、会費とFAX用紙の無駄使いをされている気になるかもしれない。


今回のメインは、預り金横領など弁護士不祥事対策のようだ。


成年後見人としての立場を悪用するものが多いとの指摘で、具体的改善策としては、①質が担保された後見人等推薦名簿のあり方、②早期発見・早期対応の為の家裁との対応・調整関係の検討、③弁護士会による早期発見早期対応のためのチェック・助言体制の検討、④家裁への後見人等候補者の推薦方式のあり方、⑤弁護士後見人の研修体制・OJT・相談支援体制等の強化等を求めているとのことだ。


しかし、正直いえば、私はこのような手段で防止できるのなら、もう防止できているのではないかと思う。
問題は他にあるように思う。それはずばり弁護士の貧困化だろう。

そりゃ、たった10年で弁護士数がほぼ2倍になれば、当然である。法的紛争は10年で2倍になるどころか、過払い金訴訟を除いた民事訴訟は減少傾向にあるといわれている。これまで1個のパンを1人で食べていたところ、パンがなんぼか減っただけでなく、2人でその分量の減ったパンを分けなければならなくなった状態なんだから、お腹も空いてあったり前である。


決して不祥事を起こした弁護士を擁護するわけではないが、一般論として考えても、どんな聖人君子であれ食うに困れば悪いことを考えてしまっておかしくはない。生きるために必死という状況では、弁護士といえども弁護士倫理や法律すらかすんでしまう。背に腹は代えられないからだ。
①の質の担保の審査の際に、弁護士としての処理能力ではなく弁護士の預金残高をチェックされる日が間近に迫っているのかもしれないぞ。


最近読んだ「資格を取ると貧乏になります」(佐藤留美 著~新潮選書)には、こう書いてある。


『弁護士法1条1項には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と定められている。だが、社会正義を実現するにも、自分が空腹では無理だ。恒産無くして恒心無しとはよくいったものである。職業倫理の一線を踏み越えてしまった弁護士も、食うがために泣く泣くやったことかもしれない。誰が彼らばかりを責められるだろうか。』


一方で、
これからは事後的救済社会で司法の役割は増大する、弁護士は社会的インフラだ、と持ち上げ弁護士大増員にGOサインを出しながら、役割が増大したはずの司法分野・弁護士に対してなんら費用をかけようとしない国、
自由競争の前提が崩れている分野であるのに弁護士増員と自由競争で全てが解決するかのようにあおり続けたマスコミ、
自らの教育能力を無視して法科大学院を乱立させたばかりか、法科大学院維持のために現実に目をつむり司法試験合格者増員を叫び続けている大学・文科省、
そのうち需要が増えるはずと高をくくって増員を受け入れ、たまたま過払いバブルで増員を吸収できていたに過ぎないことを無視して、適切な対応を怠ってきた日弁連
責任を取ってもおかしくない連中はたくさんいる。


でも、多分、誰~れも責任取らないんだろうな。

日弁連新聞

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今日、日弁連新聞が届いた。
新聞といいながら基本的には月刊だ。日弁連でこんなことをやっているという報告が多く、一般の弁護士さんからすれば「ふ~ん、俺にはあんまり関係ないな」で終わることも多いのではないだろうか。


だが、今回は、1面下部にちょっと見逃せない記事が出ている。
「シンポジウム 司法試験と予備試験のこれから」という記事だ。

 

記事を読むと、正直がっくりだ。

 

あれだけ問題点を指摘され、法曹養成制度権等顧問会議でも、あれだけアンケート結果でのだめ出しや、最高裁・検察庁の意見を代弁していると思われる顧問から(上品に)非難を受けていながら、日弁連は何故か法科大学院制度は素晴らしいものと信じ切っているらしく、法科大学院制度と心中するつもりらしい。


パネリストに法科大学院関連の教授だけを呼んでくる時点でもう終わっている。賛否両論の論客をパネリストとして招待してやった方が、シンポジウムとして面白いし、お互いためになるだろうに。言っちゃ悪いが、予備試験を欠席裁判にかけたのと変わらないのでは、と思ってしまう。

 

兵庫県弁護士会は2011年2月に、弁護士大増員をテーマにシンポジウムをやろうとしたところ、平等に賛成派、反対派にパネリストになって頂けるよう声をかけていた。ところが、増員賛成派のエライ先生方の都合が軒並み急に悪くなったそうで、やむなく増員に賛成できない方が多数を占めるパネリスト構成になったことはある。しかし、一応平等に招待はしていたように思うぞ。


それはさておき、日弁連新聞の論調も、かなり法科大学院寄りに偏向している。


京大の土井教授は予備試験について「『法曹への最短ルートとなっており、すでに当初の目的とかけ離れた制度と化している』と厳しく批判した。」と記事にはある。わざわざ「厳しく」と書いているところからも、日弁連新聞の偏向ぶりが分かるではないか。

 

しかし、先日のブログにも記載したとおり、日本の名だたる大手事務所が予備試験合格者を、司法試験合格前から優遇して囲い込もうと奔走している。

この現実を、土井教授・日弁連はどう考えるのだろうか。

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2014/01/24.html


法科大学院が当初の目的通り、素晴らしいプロセスによる教育とやらで、質・量とも豊かな法曹を生み出しているのなら大手事務所が予備試験合格者に群がるはずがないではないか。

 

法科大学院こそが「実務界から全く評価されておらず、すでに当初の目的とかけ離れた制度と化している」と厳しく批判されても仕方がないように思うんだけど。

 

 

エライ大学教授の先生方は、遠くを見通しておられるつもりなのかもしれないけど(それだって正しいかどうか誰にも分からない)、足下は見えてないのよね、多分。

会館特別会費の議論に思う。

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大阪弁護士会の常議員会で、現在月額5000円を徴収している会館特別会費の減額について議論がなされた。


私もよく知らなかったのだが、現在は原則として、5000円×12ヶ月×18年を支払えば一応会館特別会費の徴収は終了ということになっているらしい。

 


これを月額3000円に減額できないのかという話だ。昨今良く言われる若手を中心とする弁護士の経済的苦境等に鑑みれば、馬鹿高い弁護士会費(大阪では、月額約5万円弱+隠れ会費~管財事件負担金・国選事件負担金・法律相談負担金など)の会費減額は急務であろうし、若手支援にもつながるということで、一つの提案として十分考慮に値する提案だと考えられた。
弁護士会側のシミュレーションによると2036年には、積立額で約20億円の差が出るとのこと。つまり仮に会館特別会費を減額し、2036年に会館を建て替えるなら、月々の支払いは楽にはなるが2036年に立て替える際の大阪弁護士会会員の負担が約20億円増えるという計算になるともいえる。


確かに、若手への支援策にもなるという執行部の理由は分かる。しかし、今でも苦境の若手が多いといわれているのに、弁護士需要が急に増加するとも考えられない状況下では、将来の弁護士がさらに苦境に立っている可能性の方が高いようにも思う。結局どちらが良いのかは容易には判断できない。私は、決議において保留せざるを得なかった。


結果的には、この議案は、賛成多数で、総会に提出されることになった。


議論の過程で、「公平の観点から、減額後に入会した新会員が結果的に3000円×12ヶ月×18年で足りるのなら、現在5000円支払っている会員に不公平であるため、総額で3000円×12ヶ月×18年に達したら以降の支払いは免除すべきじゃないのか」、との意見もだされた。
確かに会館特別会費徴収が開始された2007年から7年以上経過しているので、差額の2000円×12ヶ月×7年=168000円をどうしてくれるんだ、という批判は当然ありうると思う。


この意見を聞いて改めて思ったのは、若手会員の会費減免措置は一見当然のように見えるが、実は一般会員からすれば極めて不公平な制度だということである。通勤に使う電鉄会社だって、新入社員は給料が少ないから運賃を割引きしましょうとは言わないだろう。運賃に見合ったサービスを提供しているからだ。弁護士会だって本当はこの電鉄会社と同じなのだ。
この不公平を改めるためには、公平に弁護士会費を負担させることが最も単純な解決策だが、それも若手会員にとって厳しいとなれば、残る手段は、弁護士会費を全員一律に大幅に減額することしかないように思う。そのためには弁護士会が本当に必要なこと以外には手を出さないことが、今後は求められるのではないか。


いままで、弁護士会は、人権擁護に必要なことだから、良いことだから、等の理由でどんどん支出を増やしてきたように思う。それを支えたのが、弁護士の正義感と馬鹿高い弁護士会費だった。
弁護士が少ない時代であれば、それでも弁護士は仕事にあぶれることもなく会費を支払えた。しかし、司法改革による弁護士激増策の結果、現状は大きく変わってきている。就職出来ない新人弁護士の増加もそうだ。弁護士とはいえ同じ人間だ。人間は生活しなければならない。だから、背に腹は代えられない。理想は現実にはかなわない。ベテランの先生から、新入会員の希望する委員会は、人権擁護の分野よりも仕事につながる可能性が高い委員会が圧倒的だ、との嘆きを聞いたこともある。


結局、弁護士激増策は、弁護士の経済面を大きく損なわせただけでなく、弁護士の正義感も失わせることにつながり、次第に顕在化しつつあるのではないかと、私は危惧している。

武本夕香子先生、ご当選!

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当ブログで、随分前に早すぎた天才として紹介させて頂いた、兵庫県弁護士会の武本夕香子先生が、兵庫県弁護士会の次期会長に当選したとの知らせを受けました。

 

 

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2008/02/01.html

 

 

武本先生は、随分前から脳天気な司法改革路線に警鐘を鳴らしてこられ、また自ら率先して日弁連の委員などとしてご活躍されてきました。 

 

私も宇都宮日弁連前会長のもとで設置された、法曹人口問題に関する会議で二年間ご一緒させて頂きましたが、どんな相手であろうが臆することなく、正しいものは、正しい、間違いは間違いという姿勢を貫かれる武本先生のお姿に、幾度勇気づけられたか分かりません。

 

 

小柄な武本先生ですが、 ファイト溢れるそのお姿は、とても大きく見えます。

 

 

私は、見たことはないのですが、武本先生は現代のジャンヌダルク的な方なんじゃないだろうか、と勝手に思っていたりします。

 

 

会長職は大変な激務ですので、お体にだけは十分を気をつけて頂いて、存分にご活躍して頂けることを祈念しております。

ちょいと検索

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先日、ある人から「予備試験合格者・募集」で検索すると面白いですよとの示唆を受けたので、早速ヤフーで検索してみた。


なるほど、確かに面白い。大手が競って予備試験合格者の囲い込みをしようとしているようだ。


少なくともヤフーでの検索上位10位までに、次のような法律事務所が予備試験合格者に特別扱いを提供している様子が出ている。


弁護士法人大江橋法律事務所    :予備試験合格者に特別な説明会開催
森・濱田松本法律事務所      :予備試験合格者に特別な説明会開催
長島・大野・常松法律事務所    :予備試験合格者に特別な1Day研修
渥美坂井法律事務所・外国法共同事業:予備試験合格者に特別な説明会開催


法科大学院が主張するように、プロセスによる教育とやらが法曹に必須のものであるならば、大手法律事務所がどうしてプロセスによる教育を経て厳格な卒業認定を受けたはずの法科大学院卒業者(プロセスによる教育を受けたお墨付きがある者)ではなく、予備試験合格者(まだ司法試験に合格もしていない者)を特別扱いしてまで囲い込もうとするのだろうか。


どの事務所だって優秀な若い法曹を求めているはずだから、そのための特別扱いなのだろう。そこから考えれば考え方は、少なくとも2つあるように思う。
一つは、法科大学院が大事だと主張し続けているプロセスによる教育は法曹にとって必要だが、法科大学院がプロセスによる教育をきちんと実施できていないため、仕方なく、少しでも地頭の良いと思われる予備試験合格者を採用したいという考え。
もう一つは、そもそも法科大学院が大事だと主張し続けているプロセスによる教育など、法曹としての優秀さに関しては全くもって無用・無関係であり、それよりも地頭の良さが法曹としての優秀さにつながるという考え。


他にもあるかもしれないが、ここで気付くことがある。
どちらの考えをとっても、これらの大手法律事務所の採用態度から推測すれば、法曹養成において法科大学院が必要・不可欠であるという答えにならない、ということだ。


上記の法律事務所が、日本の中心的な法律事務所として評価されていることはご存じの通りである。つまり、日本の大手法律事務所は、法科大学院教育に大した価値を見出していないように見える。


政府の援助を受けた製造元が、いくら素晴らしい製品だと言い張っても、市場で評価されないのであれば、その製造元は社会に役立たない存在と言われても仕方がない。そのような製造元に税金が投入され続けているとすれば、その製造元は税金泥棒といわれても仕方がないだろう。
法科大学院は、このような大手事務所の動向をどう見ているのだろうか。

政府は、まともな人選をして欲しいよね。

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大阪弁護士会の委員会で、某法科大学院教授のお話を伺うことができた。ちなみに○○先生は凄腕の実務家教授であり、私も○○先生の授業であれば今でも聞いてみたいと思っている。


詳しい内容はお話しできない部分もあるが、現状や今後の見通しについて、○○先生は、次のように語っておられた。


・優秀な学生が確保さえできれば、法科大学院の合格率は上げられる。ただ、優秀な人材がもはや法曹界を目指さなくなりつつある。
・純粋未修者はほとんどいない。法学部卒でありながら実力がなくて未修から入学してくる者がほとんど。
・司法試験合格率上位のビッグ5ないし6は今後も優秀な人材を集めることができるので安泰だろう。
・ビッグ5ないし6以外の法科大学院は歴史や面子から法科大学院を残すところもあるだろうがどうなるか分からない。
・ただし、ビッグ5ないし6が安泰である以上、制度は変わらないのではないか。


確かに、政府の委員会で委員や顧問に就任する有識者の多くは、ビッグ5ないし6の教授の方が多いように見受けられる。その方々にとって自校が安泰なら他でどんな弊害が出ていても、全体として失敗の制度であったとしても、それは一部の問題であるなどと主張して、法科大学院制度を維持する方向で議論するだろう。合格率の高い法科大学院を維持することは少子高齢化の日本社会で、相対的に自らの大学の存在感を増し、今後の大学経営の安定にもつながりうるからだ。不景気の嵐が吹き荒れる中で自分の勤める会社を好き好んで窮地に陥れる社員はいまい。だから現在の委員選定では必然的に議論が歪められている可能性が高い。
政府の委員を選定する際にもう少し、公正な人事をして最大の利害関係人(ビッグ5~6の教授)を相当程度排除する、現実を見て法科大学院を募集停止にした大学院の教授を委員に入れる等の方策を取って頂ければ、少しはまともな議論になるように思うのだが。


なにも、有名大学の教授だけが有識者ってわけでもないでしょうに。