ゴルフのこと~番外編3

(続き)

 昼食時も、話題はゴルフだ。まあ考えて見れば当たり前で、ゴルフ好きがやってきて初対面で話すのはゴルフの話題くらいしかないだろう。しかし、S弁護士は表面上はゴルフ談義に興じながらも、ハーフ45の出来に、躍る心を抑えきれず、秘かに自分に暗示を掛けていた。

「よろこぶな、俺。まだハーフが残っている。ベストスコアの可能性はあるが、欲を出さずに、プレーに集中するんだ。」

 以前、ハーフ41という好スコアを出しながら、後半64と崩れたこともあった。食事のあとは何かが変わってしまうことも多いのだ。しかも経験上、悪い方向に変わってしまうことの方が多い。

「落ち着け俺。今までのペースを維持するんだ。これまで何度も落とし穴に落ちてきたじゃないか。」

普段はだらだらすることも多いS弁護士だが、今回は、柄にもなく、珍しく、昼食後にも練習場でアイアンとパターの感触を確かめたりもした。

1番(370Y・par4:ボギー)

右ドッグレッグのかなりの打ち下ろしコース。ショートカットを狙うと右の山のOBゾーンが危険。

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1打目 他のお三方のナイスショットに引っ張られるように、ど真ん中にナイスショット、傾斜もあって残り110Yくらいまで転がる。


2打目 池にびびって、右のサブグリーンにオン

3打目 ウエッジでオン

2パット

ボギーは私にとって上出来だが、還暦さんは8m程のパットを沈めてバーディ!前半同点だった還暦さんに2打の差をつけられた。まあ、そもそもの腕が違うのでしょうがない。

「凄いですね!糸を引いたように入りましたね!」とS弁護士が感想を述べると、2打差に突き放して余裕が出たのか、還暦さんも「実は糸引いてました(笑)」とおどけてくれる。S弁護士も調子に乗って「ちょっと、ボール、改めさせてもらいます(笑)」と返したりする。

 

2番(350Y・par4:バーディ)

グリーンが見えない左ドッグレッグのホール。左に曲がったあたりからはそこそこの傾斜で左下方向へ下っていくため、2打目は打ちにくいことが多い。

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1打目 ドライバーが、スコンと変な音を立てた。やや右に出てさらにスライスしていく。それを見て本間さんが「こすったな。まあ大丈夫やけど。」とぽつり。かなり右に出たと思ったが、ナイスキックだったらしくフェアウェイ真ん中にボールが止まっている。

2打目 9アイアンでピン手前にオン

長いバーディパットが入っちゃった。S弁護士、思わずガッツポーズ。「おいおい、今日は、えらいことになるんちゃうか~」と大御所さん。

 

3番(118Y・par3:ボギー)

打ち下ろしのショート。左はすぐOB。グリーン脇の大きな樹には注意が必要。

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1打目 先程のバーディで、何と最初に打つことに。クラブ選択で迷っていたら、大御所さんが「あんなあ、S、迷ったら攻めやで」。この一言で、攻めのクラブに変更。変更したら変更したで、大御所さんが「まあ、攻めすぎてもあかんけどな~。」 お~い、一体どっちやねん!

 オナーってのは名誉って意味だよな~。確かにこのお三方相手にオナーって凄いかも。と自分を誉めていたら、油断したのかティーショットは大きく左へ飛んでいく。まずいそっちはもろにOBゾーンだ!!「ありゃ、巻いたな」「はよ落ちろ」「耐えろ」とお三方が順番に一言ずつ応援してくれるが、物理法則には影響しない。しかし大きな樹にかすって勢いが削がれ、グリーン左のカート道付近にボールは落下してその場に止まる。あやうくOBになりかけた。

2打目 58度でオン

気合いの2パット、ボギーで切り抜ける。

 

4番(392Y・par4:ボギー)

大原で最も難しいホール。ティーショットが左だとすぐOB、右の山の斜面は安全そうに見えるが苔のような地衣類で覆われている部分があり、埋もれてしまう場合もあって、出てこないことも多い。飛びすぎるとクリークにはまる。

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1打目 ドライバーが今日一の当たり!特ティ付近までのナイスショット。ここまで来れば2オンが狙える。しかし、ここはハンディキャップ1のホール、以前何度も二桁を叩いて沈んだところだ。アイアンできざむ安全策もあり得るが・・・と弱気になりかけたときに、思い出したのが大御所さんの「S、迷ったら攻めや」のお言葉。よし、行ったる!狙うは2オン。


2打目 風がフォロー気味であったので7Wを選択。まずまずのショットも届かず。大御所さんから「方向は悪ないが、当たりが薄かったな」との指摘有り。

3打目 7Iで転がしてオン

2パット

最難関ホールだからボギーでも価値はある。

 

5番(154Y・par3:パー)

グリーン手前に池と川があるショート。グリーンは奥に乗せると、止まらない場合アリ。

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1打目 UT7でピンへ真っ直ぐ。我ながら今日のゴルフは凄いかも。しかしオンしたのは、最も避けなければならないピンの奥。本間さんが、「ここは乗っても奥やったらアウトと同じやで、でも頑張りや」とどっちかよく分からない励ましをくれる。

2打目 「S、ここもバントや、絶対にバントやで。入れに行こうなんて思うな!」という大御所さんのアドバイスに従い、1パット目は距離だけ合わせにいく。届かないかと思うほど僅かに触っただけだが、するするとボールは進んでいき、カップを少し通り過ぎて止まる。

なんとか2パットで切り抜ける。

 

6番(267Y・par4:パー)

短めのミドルホール。フェアウェイが高くなっているため、グリーンは見えないがワンオン狙いの人もいる

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1打目 「おいおい、Sさん今何打や、結構ええ感じにきとるんとちがう?」と還暦さんが指摘する。「あ~、スコアに触れないで下さい。気にしたら欲が出てダメになりますから~!」とS弁護士の悲鳴。ティーショットはドライバーがスライスしつつも落ちたところは、ど真ん中。

2打目 アイアンで、グリーン端にオン

2パット

 

7番(502Y・par5:ボギー)

少し打ち下ろしたあと延々と打ち上げていかなければならないホール。

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「上がり3ホールやから、Sさん、こりゃ~ええスコアでるンと違う?」本間さんにも云われてしまった。「ダメったらダメです。スコアにふれないでくださ~い。気にしたら崩れます!」と口止めして、ティーショットへ。

1打目 ドライバーが真っ直ぐ左に出て、左の山へ。左の山はOBだ。「あ~やっちまった。だからスコアに触れて欲しくなかったんだよぅ。」とS弁護士は心の中で恨み節全開!

 ところが、ついているときはどうやってもついていることがある。山中に消えゆくはずの白球は、カコ~ンと暢気な音を発して木に当り、ラフまで落ちてくるではないか。しかも落ちたところが修理地で、ニアレストポイントからドロップするとウッドが振れるライで止まる。

2打目 FW5で良い当たりするも、右ラフへ。しかしラフは深くない。十分ウッドが振れる。


3打目 FW7で良い当たりするも今度はグリーン近くの左ラフへ。

4打目 ウエッジでのせる。広いフェアウェイを一度も踏むことなく、グリーンまで来てしまった。

2パット

8番(350Y・par4:ボギー)

打ち下ろしのミドルホール。左側は広いが窪地になっており、魔女の谷と呼ぶ人もいるとのこと。

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1打目 ドライバーがやや右に出るも、右ラフでとまる。


2打目 左足下がりの場合は右に出やすいということを忘れていて、真っ直ぐ狙ったため、アイアンが右に出て高い木に当たる。OBかと思い、暫定球まで打ったが、ラフで止まっていてセーフ。

3打目 ここが勝負!で入念に素振りをして、58度で我ながらナイスオン。

2パット。

9番(454Y・par5:ボギー)

クラブハウスの方向へ、ずっと打ち上げていくロングホール。左は1番ホールでOB。右はやや広いが、遠回りになる。

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ここで前の組が進むのを待っていると、大御所さんが、

「今ちょうど、Sと同点や。お前なんかに絶対に負けられん。どんな手を使ってでも勝つ!(笑)」と勝利宣言。

「どんなド汚い手を使ってでもですか!?(笑)」

「そうや(笑)!」

「分かりました。でもド汚い手が不法行為に該当したら、裁判沙汰にさせて頂きますからね!(笑)」

「うわっはっはっはっ」

というやり取りがあって、その後、ゴルフの競技では、ルールスレスレの汚い手を使う人が如何に多いかという話をお三方から聞く。ゴルフは面白いスポーツなのに、なんだかゴルフを冒涜するような人達がいるんだな、残念だ。

さて1打目 ドライバーがややスライス気味ながら、方向は真っ直ぐ。正面やや右のラフまで。「お~、こりゃ~ひょっとするで」と本間さん。


2打目 FWトップ気味にあたり、100Yくらいしか飛ばないがフェアウェイ。大御所さんは2打目がOBゾーン付近に飛んでいき、微妙な情勢。

3打目 他人を気にしたのがまずかった。FWでグリーンを狙うも左にそれて、右グリーンなのに左グリーンのガードバンカーにつかまる。今日初めてのバンカーだ。もとよりバンカーは大の苦手。主観では、脱出できないか、ホームランか、を併せれば90%を占めている印象だ。ここまで来てついに後門の狼に捕まったか?

「う~、試練や。試練やぁ~!」思わずうめき声が出る。


4打目 バンカーショットをミスって、ここで大叩きしたら、最悪だ。南無三!うまくでてくれ!58度で打ち、バンカーから出たものの、エッジ近くまで。良かった、大怪我は免れた。。。

5打目 パターで寄せるが、エッジ付近の芝の抵抗と傾斜もあって4mほど残す。寄り切らない。「うん?大怪我せんように、わざと狙わずに打ったの?」と還暦さん。「いや~そんな余裕ないです。一所懸命やって、こうなっちゃってるんです。」


しかし、登りだったので、弱気に負けないように気合で打ったら、入っちゃった。S弁護士、思わず万歳。

「お~、やりおったな、ボギーなら86やで。」と大御所さん。

その後、お三方から「もう、ゴルフやめられへんな」、「あと3年はベストスコアは更新できへんな」、「今日の帰りは事故だけには気をつけるンやな」とさんざんひやかされたが、初の90切りで素直に嬉しかった。

お三方、楽しい時間を有り難うございました。

ちなみに、大御所さんとの勝負は、大御所さんの第2打がセーフで、大御所さんは9番ホールパー。1打差でS弁護士は及ばなかった。

(番外編終了)