本当にモテモテなのか法科大学院卒業生

 朝日新聞が11月28日付夕刊で、「企業にモテモテ 法科大学院」との記事を掲載している。

 記事によると、数年前から法務部門を強化する企業が、法科大学院の学生を対象に会社説明会を選考会を積極的に実施しているそうだ。法科大学院修了生の就職支援サイトを運営する会社(ジュリナビ)の部長と法科大学院院長が、法科大学院卒業生が社会で高く評価されていると説明している。

 本当にそうなのかと思って、「法科大学院卒業生 就職説明会」のワードでヤフー・グーグルで検索してみた。いずれも私が見る限り、上位50位以内には、企業からの就職説明会はヒットしなかった。むしろ、ジュリナビ等のポータルサイト、企業ではなく法科大学院が主宰する就職説明会の案内、法科大学院を卒業して司法試験に合格できなかった人の就職に苦労したブログなどが目につく。

 もちろん、企業が求人に関してインターネットに直接掲載せずに、ポータルサイトに求人を出している可能性もあるので、検索結果で全てが判断できるとはいわない。

 しかし、法科大学院に志願者が集まらないと、とても困る立場にあるはずの、ジュリナビの部長と法科大学院の院長の発言なので、自分の食い扶持に直結する法科大学院卒業生について、高めに評価して発言している、ポジショントークの可能性はそこそこあるように思う。

 経営法友会による法務部員増加の数字も出しているが、参加企業が増えただけかもしれないし、最も肝心な法科大学院卒業者が法務部員として増加しているのかという数字は出されていない。

 つまり、自分で絵を描いて自分で誉めている可能性も否定できないだろう。

 朝日新聞としても、広告を出してくれる法科大学院やジュリナビはお得意様だ。お得意様の機嫌を損ねるような内容の記事はあまり書けまい。

  司法試験に合格できなくても法科大学院の卒業生が、本当に企業から高く評価され引く手あまたなのであれば、一般の4年制大学卒業生よりも好待遇で募集されているのが当然のはずだし、それだけのメリットがあれば、たとえ司法試験に合格しなくても、法科大学院に進学する学生が増加の一途をたどってもおかしくない。

 ところが、現実には法科大学院志願者が激減し、文科省・法科大学院・日弁連が必死になって法科大学院受験者を増やそうと様々な費用をかけている。文科省・法科大学院は、法科大学院生を増やすために、予備試験を制限することまで考えているくらいなのだ。

 また、朝日新聞の記事は、任期付き公務員や企業内弁護士が増加していることを指摘して締めくくっているが、それは司法試験に合格してある程度の能力を有することを示したものに対する就職現象であって、司法試験に合格できなかった法科大学院卒業生に対する社会の評価とは関係がない。

 公務員と言えば聞こえは良いが、任期付きであるならば、任期が終われば放り出されかねない。とても安定した職場とは言えまい。

 近時の司法試験の採点雑感を見ると、法的三段論法以前に、日本語の作文能力を鍛え直せと採点者から酷評される状況にもある。

 この評価は、厳格な?法科大学院の修了認定を経て法科大学院を卒業し、司法試験を受験している受験生に対する評価であることを忘れてはならない。

 法科大学院生が本当にモテモテなのか、安易に記事に踊らされずに、しっかり見極める必要があるように思う。