法科大学院等特別委員会は議事録を公開して欲しいね。

 文科省に設置されていた「法科大学院特別委員会」が、「法科大学院等特別委員会」として今年の3月頃から活動しているようだ。

 え? どこがちがうの? 同じじゃないの?

 という疑問もわくかもしれないが、ちゃんと法科大学院「等」と1文字違えてある。

 

 とはいえ、座長は井上正仁氏、座長代理は山本和彦氏と全く変わらず、委員も半分以上が留任だから、ほとんど委員会の名前が変わらなかったのと同じく、中身も大して変わっていないと思われる。

 「これまでの法科大学院等特別委員会における委員の主な意見」という資料は公開しているので、その資料をざっと見させて頂いた私の独断で言わせて頂ければ、法科大学院等特別委員会の目的は、ずばり、法科大学院制度の維持で、それ以外にない

 そして国民の皆様の為の法曹養成よりも、法科大学院制度維持が自己目的となり、予備試験制限を主張する場合等以外には当初の理念もどこかへすっとんでいるようだ

 意見によると、法科大学院が未修者を一年で既習者クラスまで引き上げるという制度設計が現実的ではなく無茶なものだった(若しくは、エライ教授の私が教えてやれば学生の実力を上げることなど簡単だと、ご自身の実力を過信していた)ことがようやく理解できたのか、今度は法曹養成の一部である基礎教育を法学部にやらせようと目論んでいるかのように見える

 また、意見によると多くの志願者を集めて法科大学院よりも高い司法試験合格率をたたき出す予備試験制度を目の仇とし、その制限を目論んでいるようだ。

 ところが、予備試験経由の法曹に問題があるとの指摘は現実にはない。現に、裁判官や検察官にも採用されているばかりではなく、大手の法律事務所でも予備試験経由の司法修習生を先を争って採用している。

 つまり、実務では予備試験経由の司法試験合格者を優秀な人材として採用しているのだ。予備試験経由の法曹に問題があればこのような実務の採用傾向が続くはずがないのである。言い換えれば、法科大学院が主張する法曹養成の理念等が、本当に実務法曹に必要不可欠なら、このような実務の採用傾向が続くはずはなく、実際の実務では法科大学院様が仰る法曹養成の理念などに、全く価値は置かれていないといっても言い過ぎではないだろう。

 実際に役立たない理念など、信じている人には大事なのかもしれないが、他の人から見れば、単なるイワシの頭である。

 実務に役立たない法曹養成の理念など無用の長物、それを教える必要があるとして税金を投入させることは血税の無駄使いだ。

 しかし法科大学院側は「法曹養成の理念に反する」と意味のない理念を振り回して、予備試験制度の制限を目指す姿勢があるようだ。

 理由は簡単だ。予備試験を制限すれば法曹になるには法科大学院に進学するしか道がなくなるからだ。そうなれば法科大学院の教員の生活も安泰ということになるだろうし、法科大学院卒業生の司法試験の合格率が予備試験経由の受験生に惨敗しているという醜態も、さらさなくてよくなるかもしれないからだ。

 このように法科大学院等特別委員会の目指すところは、既に国民のために優秀な法曹を生み出すという点にはなく、どうやって法科大学院を維持するのかという点に集中しているように思われる。

 

 ところで、文科省の委員会は委員会配付資料の公開や、議事要旨・議事録を公開しているが、法科大学院等特別委員会は、まだ一度も議事録を公開していない。

 主な意見をまとめることが可能である以上、きちんと議事については記録を有しているはずだ。

 一回2時間の会議のようだし、議事録作成にそんなに時間がかかるわけではないだろうから、是非とも早期に公開してもらいたい。

 私も、主な御意見などのように、誰がどうまとめたのか分からない資料ではなく、きちんとした御発言をお聞きしたいのだ。

 エライ学者の先生方が多いのだから、「法曹養成の理念が」等と勝手に抽象的な空中戦をやっているはずがないだろう。

 きっと予備試験経由の法曹に現実的な問題が生じている事例(そして法科大学院経由の法曹にはそのような問題が生じていない例)を多数集めるなどした上で、きちんとした事実に基づいて、法曹養成制度の理念が正しく、それに則った法科大学院が必須であると、きちんとスタートラインを確定してから議論に入っているにちがいない。

 まさか、将来の司法需要の予測を完全に外した司法制度改革審議会意見書に未だに則って、株を守る(くいぜをまもる)状態に陥っていたりはしないだろうと信じたいものだ。

 かつて、法科大学院制度を導入する際に、論証暗記型の答案が多いことを批判していた学者がいたが、現在の司法試験採点者の実感では、論証暗記型の答案が依然として見られるとのことだ。そればかりか、日本語作文能力すら危ういとの指摘もあるのだ。

 文科省の政治力を使って予備試験制限を画策するような状況ではないと思うのだが。

 とにかく、議事録の公開、よろしくお願いしますね。