別解について思い出すことなど


 確か中学校の理科の問題だった思うのだが、

 80℃のお湯500グラムと50℃のお湯300グラムを混ぜると、何℃のお湯になるのか、

という問題があった。


 一般的な解き方は混ぜた後の温度をX℃として、

 80℃のお湯が失った熱量は(80-X)×500  ・・・・・①
 50℃のお湯が得た熱量は (50+X)×300    ・・・・・②
 ①=②なので、

(80-X)×500=(50+X)×300

 これを解いて
 X=68.75℃

 というものである。

 しかし、私はこのような計算が面倒くさかった。
 定期試験にこのような問題が出た際に、私は、
 
 0℃を基準にすれば
 80℃のお湯がもっている熱量は500×80、
 50℃のお湯のもっている熱量は300×50
 この熱量を足したものが、混ぜた後の800グラムのお湯にも残っているはずだからと考えて、

 500×80+300×50=800×X℃
 と答案用紙に記載して

 X=68.75℃との回答を出した。

 この計算でも正しい答えは出せるのである。

 ところが、私の解答は、解答の数値は合っているものの、返却された答案には△が付され、その問題の半分の点しかもらえていなかった。

 担任の先生(たまたま理科を担当しており問題を出題していた)に、理由を聞くと、教科書にしたがって教えた解き方と違うからだと言われた。

 私は、黒板に自分の考え方を書いて説明し、級友の「この解き方の方が簡単や」、という声にも勇気づけられ、どうしてこの考え方ではダメなのかと先生に食い下がったが、「テストは教えた方法が身についているのか見るものだし、解答に0℃を基準にするとは書いていないから」、と言われ、結局あきらめた記憶がある。


 確かに定期試験には、教師が教えたことが身についているのか確認する側面もあるのだろうが、私が教師なら、習った計算方法以外の方法で正解を導いた生徒がいたら、おそらく、その生徒の探求心や独創性ある考え方を評価し、逆に誉めたのではないかと思う。


 このような小さなことを鮮明に覚えているのは、減点されたのがよほど悔しかったからなのだろう。

 そのこともあって、私は、大学や大学院で教える際には、できるだけ、学生さんの考えも尊重し、芽をふんだり、つぶしたりしないように気をつけているつもりである。