京大グライダー部 OBトーク

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 先日、春学期の講義のために大学に赴いた。
 春学期は、いつも新人を勧誘しようという各クラブやサークルがいて、活気がある。

 さすがに、私に勧誘のビラをくれる学生はもういないが、私にもビラをもらって期待と不安でドキドキしながら、説明会にいった時代があった事を、思い出す。


 私が大学時代に所属していた、京大グライダー部は、一時新入部員が激減して存続すら危ぶまれる事態にあったところを、私の1年後輩のM君が、呼びかけて様々なOBの支援を行うように段取りを組んでくれた。

 その一環として、OBトークがある。
 要するに、食事目当ての新入生が多くやってくる説明会~飲み会に、クラブのOBを呼んで話しをさせ、クラブに興味を持ってもらうという催しだ。

 事務所は大阪であるものの、京都に在住している私は、大学に近いところに住んでいる、というそれだけの理由で何度もOBトークに参加する(させられる)ことになった。


 今年は、日程が合わずに、失礼したが、小惑星探査機「はやぶさ」に関与していた大学教授、現在大手航空会社の最前線で活躍するパイロット、等の後輩と、現在の仕事の話しや、大学時代の思い出をお話しする(もちろん勧誘が主目的であるが)ことは、そこそこ楽しかったし、新入生にも好評だったと聞いたこともある。


 OBトークで私は、手がけた訴訟や法曹界裏話などを主にお話しするのだが、実は、新入生に最も伝えたいことは、「今を大事にして欲しい」ということだ。


 過ぎてみれば分かるが、本当に時の流れは早い。
 そして、人間なんて先のことは、分かっているようで、実は全く分からないのだ。
 同級生を何人か、病や事故で失うとその思いは、特に強くなる。

 「いつか~しよう」と思っていても、いつかなんか来ないことの方が多いのだ。
 思っているだけでは何も体験できない。
 ましてや、死んでしまえば、それこそ何も出来ない。


 生きているうちに、今しかできないことを一生懸命にやることは、本当に大事だし、人生を充実したものにするには、それに尽きるようにも思う。


 もちろんそれは、私自身の悔悟に満ちた自戒でもあるのだが、どういうわけか、若いうちにそのことに気づける人、さらに進んで実戦できる人はごく希だ。


 旅客機ならともかく、グライダーの体験搭乗なんて、普通の生活を送っていれば、まずそのチャンスは巡ってこない。
 

 今しかできないことを、体験してみることは、本当に大切だ、と力説して、「少し無理してでも、グライダーの体験搭乗に参加すべきだ」、と新入生にお話しすることが、私のOBトークでの役目だったりするのであるが、実はその裏の奥底の方で、若い人に私よりも後悔の少ない人生を送ってもらいたいという気持ちが流れていたりするのである。