谷間世代に日弁連会費を減額!?

 はじめに:ちょっとまとまりのない、雑感になることをお許し下さい。

 司法修習を受けている間に、国庫から給付を受けられなかったいわゆる谷間世代の問題については、私は当初から、国の政策の誤りだったのだから、責任は国にある。したがって、対応を求めるのは国に対してであるべきであって、弁護士会が対応を行うことは理屈に合わず、間違いだと述べてきた。

 間違いであるばかりか、給費制復活を目指して活動中の方々に対しても、「立法政策の問題ということもさることながら、弁護士会や日弁連が対応しているようですから、もういいでしょう」と反論する論拠を相手に与えかねず、悪影響を及ぼしているはずだ。

 百歩譲って、悪影響がないとしても、会員間における差別的な扱いには間違いなくなるだろう。同じ施設を利用し、同じサービスを受けるにもかかわらず、支払う対価を一部免除される者とそうでない者に分かれるのである。
 仮に、会費が余っていたとしても、それは会費の徴収のしすぎということになるから本来は支払った人に返すべきお金のはずだ。

 また、谷間世代から、修習時代の借金のせいでどうにもならないのでなんとか助けてくれという筋違いの陳情が日弁連執行部に多数届いたという話も聞かない。救済すべきであるという事実があるかどうかもはっきりしていないのである。


 それにも関わらず、日弁連は、谷間世代への日弁連会費の減額を行う意向を有しているようだ、との報告を先日の常議員会で聞いた。


 谷間世代に対して、日弁連会費を毎月3500円、10年にわたって減額するという案が日弁連理事会で討議されているようだ。総額で40億円を超える規模になるとの試算だそうだ。
 つまり、仮にこの試算通りに減額すると、40億円もの日弁連会費の実質的流出が生じるのである。


 日弁連執行部主流派は、良いだろう。自分達が主導して谷間世代救済を行ったと胸を張れるからだ。また谷間世代は会長選挙の際には相当大きな票田になりうることも、おそらくその背景にはあるのだろう。

 しかし、その実態は、他人の金(谷間世代以外の会員の会費)を使い、さも自分が救済したかのような顔をすることになるだけの話だ。

 たとえ筋違いの谷間世代救済策であっても、真に困窮している者が多数いて看過できない状態にあり、救済してあげたいと考えるなら、救済したい連中だけで基金を作ってその範囲内でお金を給付すればいいだろう。
 資金拠出者も明らかになるし、他の会員を犠牲にすることもない。自分の名前が出るのが嫌だというのなら、匿名で基金に寄付すればよいだけの話だ。
 その上で、「助けてやった」と胸を張りたい人は、胸を張ればいいじゃないか。

 本当に谷間世代が惨憺たる状況で、その状況を憂いて救済したいと強く願っている人がいたなら、既にそういう行動をとっていてもおかしくないのではないか。

 現日弁連会長の菊地裕太郎弁護士が、選挙前に代表となって設立していた、「広げよう!司法の輪 日弁連の会」とかいう団体などは、お金をかけて豪華なパンフレットを全弁護士に配ってまで日弁連や弁護士のために、なにかやりたいと主張していたようだから、格好の受け皿になって活動していそうなもんだがなぁ。
 一体どこへ消えたんだ。


 かつて、私の祖母は、入院中に言っていた。
 「年金を頂けて、入院しても無料にして頂いて、本当に有難い。」
 確かにこれまで国を支えてきた老人を大事にすることは悪いことではない。しかし実際に、費用を負担するのは国民全体だ。目先の議席のことをばかり考え、一票を持つ老人には利益を与えて優遇し、他方で一票を持たない子供をないがしろにしてきたつけがいま、顕在化しつつあるのではないのか。
 国民全体が、平等かつ持続的にその恩恵を享受できるように制度設計するのが政治家の仕事のはずだ。
 その理は、日弁連の会務執行において執行部が果たすべき役割と、変わりがない面もあるはずだ。
 

 日弁連執行部は、他人にツケを回すな。他人の金を使って、筋違いの救済をしようだなんて、ええカッコしようとすんな。