同感、同感・・・

 同業の弁護士の方にしか分からないかもしれないが、月刊弁護士ドットコムという雑誌がある。

 巻頭には「フロントランナーの肖像」というコーナーがあり、毎号、ちがう弁護士に対するインタビュー記事が掲載される。

 私は結構、他の弁護士さんの思いや経験談を読むのが嫌いではないので、このコーナーを楽しみにしているが、今回取り上げられた榊原富士子先生のお話しには、つい、「そうだよね~」と大きく頷いてしまう部分があった。

「・・・受任の最初に電話一本入れて話し合いをすれば済むケースなのに、いきなり弁護士がついて提訴したり、当事者に上から目線の内容証明を送りつけたりし、当事者がびっくりして相談に来られるケースが珍しくなくなりました。当事者の裁判なのに、相手方弁護士の批判を展開し始める代理人もいます。代理人がわざわざ紛争を拡大するのは、家事事件にはおよそ似合わないやり方ですよね」(月刊弁護士ドットコムvol49 P11)

 そんなことを書いてきたら紛争がより先鋭化しちゃうじゃないか、とにかく相手に感情をぶつけることが優先事項で、根本的な紛争解決などどうでもいいと思っているのか?と疑うような書面を書く弁護士を、最近立て続けに(2人は若手、1人はベテラン)相手方にしたからである。

 そのような弁護士からの書面は、事実に立脚せず主観を根拠に自己中心的な主張を言いつのる傾向が強く、また過度の感情的表現が満載であるばかりでなく、相当上から相手を見下したような書きぶりをしているものだから、読まされる方は非常にストレスを感じる。

 もちろん、そのような書面を送りつけられた側の当事者は、怒り心頭、徹底的に戦って欲しいという気分がわき起こり、双方で妥協できそうな落とし所があっても、感情面を傷つけられたことから迅速円満な解決が遠のいていくことが多いのだ。

 無茶な書面を書いてもらった依頼者からすれば、弁護士が言いたいことをさらに過激に言ってくれるので、胸のすく思いがするのかもしれないが、そのような書面が現実の紛争解決に役立つことは通常考えにくい。また私の経験からしても、そのような書面を送りつけられて紛争解決に役だったことは、一度もない。

 弁護士が少し気をつけて書面を作成すれば足りるはずだが、そのような配慮をしていない(配慮の必要すら気付けない?)と思われる弁護士が増えてきているのかもしれない。

 その点で、私は榊原富士子先生の実感に、同感することしきりなのである。

 当事者が喧嘩している段階であれば感情的な言い合いがあっても良いのかもしれない。

 しかし、弁護士は、例外的な場合(例えば交渉を決裂させて欲しいという依頼がある場合等)を除いて紛争を解決するために依頼を受けたはずである。だとすれば、無思慮な批判的・感情的表現を相手方に浴びせることは、本来の目的に反する可能性があるはずだ。また、上から目線の言い方は間違いなく相手方の感情を刺激し、事件の解決を困難にする方向に向かわせる。

 上記のようなことに配慮し、その上で表現行為を行うだけの慎重さ・冷静さが、弁護士には求められているように思うのだがなぁ~。

 だって、我々の目的は基本的には、紛争拡大じゃなくて、紛争解決のお手伝いでしょ?

 

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初秋のゴットランド島