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自然災害に火災保険は使えるか?

 最近、某損保のTVコマーシャルで、「当社の火災保険では自然災害もカバーします」という趣旨の、宣伝を行っていました。

 

 

 これまで、火災保険の相談を多く受けてきた私から見れば、火災保険においては、その多くが自然災害(但し地震・津波・噴火等は除かれることが多い)までカバーする内容となっていることを知っておりますので、どうして某損保が、取り立てて自然災害のカバーを売りにするのかと、不思議に思ったものです。

 

 

 しかし、一般の方々におかれましては、火災保険とは火災の場合だけに使うもので、自然災害に使えると思い及ばない方も多いのかもしれません。

 

 この点、火災共済は自然災害までカバーしていない商品もありますので、注意が必要ですが、現在損害保険会社が販売している火災保険の商品には、約款をご覧いただければお分かりだと思いますが、自然災害の場合にも保険金が下りる内容となっているものがとても多いのです。

 

 自然災害に遭われた方は、火災保険(火災共済)に入っているならまず約款を確認してみることが大事でしょう。

 

 

 

 近時、火災保険が自然災害をカバーしていることに目をつけて、自然災害に会われた方を訪問しては、火災保険金の請求手続きを代行してやるともちかけ、代行手数料を取ることを仕事にしている人もいるようです(かなり法外な手数料を取る場合もあるようです)。

 

 

 しかし、このような行為は、保険金請求者を事実上代理して保険金請求という法律行為を行うことに他ならないため、報酬を得る目的で業として行えば、法律事務の弁護士独占を定めた弁護士法72条に違反する違法行為、と評価される可能性が極めて高い行為です。

 

 弁護士法72条違反の行為は、公序良俗違反で無効とされますから、せっかく高い手数料を払って保険金請求を代行してもらって保険金を得たと思っても、保険会社から弁護士法違反を指摘されて無効を主張された場合に、受け取った保険金が無効にされる恐れがあります。

 また、弁護士法違反をした者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。

 ですから、手数料をもらって保険金請求を代行してやるという申し出には、十分注意されたほうが良いと思います。

 

 

 保険契約は保険会社との約束ですから、自然災害に遭われたときには、約束に従って保険会社から保険金を支払ってもらうことは当然のことです。しかし、保険会社の担当者は、自然災害に火災保険が使えるとは、わざわざ教えてはくれません。

 保険金請求の時効は保険金を請求できるときから3年です。

 

 自然災害に遭われたときは、まず約款を確認する、約款を読んでもよくわからない場合は、弁護士に相談することが大事ということになるでしょう。

 

大阪弁護士会所属 弁護士 坂野 真一

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