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損保会社の調査はこわい~その1(私の経験からみた損保と調査会社)

 火災保険でよくあるのですが、損保が火災現場の調査にくる場合があります。といっても、私の経験上、損保が直接人員を派遣してくる場合よりも、損保から依頼された調査会社がやってくる場合がほとんどです。

 

 損保はあくまで表面上はソフトです。

 「なに、大したことありませんよ、保険金をお支払いするために必要な手続きみたいなもので、確認だけですから、すぐに済みます。」

 などと、何気ない顔をして調査会社を送り込んできます。

 

 

 ところがこの調査会社による調査が、私の目から見れば、損保側に偏って有利な調査結果を出す場合が多いので、決して侮れません。

 

 

  考えてみれば当たり前です。

 損保は、保険金を支払わなければその分、儲けです。

 損保は保険金を支払いたくて調査にくるわけではないのです。保険金を支払わなくて済む理由がないかを調査しに来ているのです。

 

 このように、損保としては、あくまで保険金を支払わなくてもいい理由を調査させているわけですから、損保から見た優秀な調査会社とは、保険金を支払わなくてもよい理由を何とか見つけてくる調査会社ということになります。

 

 

 また調査会社としても、損保からお金をもらっています。損保はたくさん事件を抱えていますから、調査会社にとっては上得意です。調査会社もいくつもありますから、せっかくの上得意がお見えになったのに、上得意様の気に入る調査結果を出さなければ、次回は、ほかの調査会社に乗り換えられてしまうかもしれません。

 損保会社にお抱えとなり、調査の仕事が継続的に、またたくさん頂けるのであれば、調査会社にとって、こんなに望ましい事態はありません。調査会社も営利企業であり、儲けるために調査会社を運営しているのですから当然です。

 

 だとすれば、調査会社としても、損保に、「つかえる調査会社だ」と思ってもらいたいのも当然でしょう。

 そのためには、何とかして、損保が保険金を支払わなくてもよい、という理由を他の調査会社よりも多くの事件で見つけてくることが必要になります。

 

 

 このような現状から、私の経験上、損保の依頼する調査会社は、損保の保険金を支払わなくてもいいほうが望ましいという意向を忖度して、損保に有利な調査をする傾向にあります。また、そのような調査を継続して実績を積んできたからこそ、現在でも、損保から依頼をもらっている可能性があるということになります。

 

 

(続く)

 

大阪弁護士会所属 弁護士 坂野 真一


 

 
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