問題社員を解雇する前に
社員が問題行動を続ける場合、会社側としては解雇を検討することになるでしょう。
しかし、実際に解雇しようとすると、厳格な解雇要件が立ち塞がります。
従業員を解雇するには、客観的に合理的な理由が求められています。
そして、この解雇要件の判断は、会社側が考えている以上に厳格になされるため、会社側が敗訴するケースが多く見受けられます。
仮に解雇が無効と判断されると、当該従業員を職場復帰させるだけでなく、バックペイという経済的負担を負うこととなります。すなわち、解雇無効の訴訟中、当該従業員は働いていないにもかかわらず、無効な解雇を主張した会社のせいで働けなかったのだから復職までの賃金を支払えと命じられてしまうのです。
解雇が無効と判断されたケースをみていると、解雇前の手続が不十分なことが多いように思われます。問題社員に対して、口頭やメールでの注意はしていても、それにとどまってしまっていることが多いのです。また、問題社員からの反論や攻撃に辟易として中途半端な対応しか取っていないこともあります。
口頭やメールでの注意で改善されなければ、文書での注意、懲戒処分と段階的に注意指導のレベルを上げながら改善の機会を与えるべきです。
問題社員に対して事あるごとに注意するのは非常にしんどいものですが、注意指導のタイミングを逃すごとに、「この程度なら許容範囲内」という誤った認識を与え、問題行動が助長されるおそれもあります。
指導しても「どうせ改善されない」と諦めるのではなく、「機会を与えたのに改善されなかった」という事実経過が後々極めて重要になってくるのです。
裁判所は、問題の程度や業務への影響だけでなく、解雇に至るプロセスも重視する傾向にあります。
問題社員への対応に悩まれた際は、弁護士に相談の上、解雇という最終手段を取るまでのプロセスをあらかじめ検討しておくことをお勧めします。
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